ブックタイトルスキンケアの科学
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スキンケアの科学
顕微鏡の観察で見える皮膚の構築5会で発展してきた過去の文化遺産を引き継ぎ,美しい皮膚を保ちつつ,それらをさらに良くしたい,という思いも十分に理解できるであろう.つまり,社会的な動物である人間だけが皮膚の健康にも気を使い,本来の美しさをさらに増して周りの人たちをも幸せな気持ちにできる.そのために,皮膚の特徴の美しさを一層生かすには,これから述べていくスキンケアが大きく貢献し得るのである. さて,医学部では人体解剖実習が終わり,その後の組織学実習では,皮膚,消化器,呼吸器,泌尿生殖器など,間接的であれ外界とは接し得る器官の表面をなす上皮組織を,顕微鏡で拡大して観察する機会が訪れる.それぞれが,機能や働きを特徴的に示す形態の上皮細胞群に覆われていることが分かる.一方,下からそれを支えるコラーゲン線維主体の結合組織である粘膜固有層は,厚さや密度は違うが,上皮組織ほどの部位特有の大きな違いは見られない. まずは,皮膚の組織を顕微鏡で見てみると,表面に表皮細胞が数層きっちりと積み重なってできた重層扁平上皮と呼ばれる表皮epidermis がある.それを下から支えるのは結合組織で,主にコラーゲン線維成分からなる真皮dermisであり,さらに,その下の広い部分を占める脂肪組織からなる皮下組織subcutisが観察できる(図1?1).そのうち,皮膚の上皮組織である表皮を取り除い顕微鏡の観察で見える皮膚の構築表皮(epidermis)真皮(dermis)皮下組織(subcutis)毛嚢皮脂腺汗腺図1?1 皮膚の構成成分