ブックタイトルスキンケアの科学
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スキンケアの科学
第1 章 皮膚の構造とその働き6た結合組織の真皮と皮下脂肪組織は,他の臓器のものと類似した構造であり,皮革の本体をなす真皮はコラーゲン線維主体の結合組織,皮下組織は脂肪組織から構成される結合組織である. 内外からの物理的な外力を防ぐ働きをする革製品の本体である真皮は,線維芽細胞でつくられた密なコラーゲン線維と,その間を縫ってゴム紐のように引き締める役割をする細い弾力線維と,それら線維の間をびっしりと埋め,組織液で湿ったムコ多糖類と呼ばれるゲル状の基質成分とから出来上がった結合組織である(図1?2).これら真皮のそれぞれの成分は,身体各部位に特異的に分化した線維芽細胞がつくり出す産物で,その厚さも内外との関係から部位的な違いは大きい.すなわち,真皮の結合組織は,身体部位に固有に分化した表皮,血管,リンパ管,知覚神経,自律神経などと,親密なネットワークを形成している. 一方,常に湿った体内の消化器,呼吸器,泌尿生殖器などの器官の内腔表面を覆う粘膜の上皮組織は,粘液や酵素の分泌,あるいは,酸素や栄養成分の吸収など,その器官の働きに適した特有な構造へと分化している.その中で,体外とも通じ得る鼻粘膜,口腔粘膜,泌尿生殖器官の粘膜上皮は皮膚と似た重層の扁平上皮細胞からなるが(図1?3),最上層の細胞まで上皮細胞の形態を保ち,そのままに脱落していく.しかし,もしも,こういう粘膜が外気に直接曝コラーゲン線維弾力線維線維芽細胞図1?2 真皮の結合組織線維と線維の隙間は「ムコ多糖類」.