ブックタイトル外用薬の特性に基づいた褥瘡外用療法のキホン

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概要

外用薬の特性に基づいた褥瘡外用療法のキホン

が,腱や靭帯,真皮の壊死組織など清浄化が難しい創の清浄化を促すことが明らかとなった3, 4).これらの壊死組織にはコラーゲンⅠ型が多く含まれ,その高分子体が清浄化を妨げていたが,図1-12のように低分子体へ裁断する作用があり,清浄化が比較的容易(図1-13)に進められるようになった.ガーゼタイプであるため,滲出液の多い場合にはそのまま使用し,少ない場合には生理食塩液で湿すなどして用いる.ヨードホルムについては,米国の医薬品解説書である“The US Dispensatory”において,1日の使用量は2gまでと制限されている.日本人に使用する場合には,高齢者の体型が痩せていることを考慮し1gとすることが妥当であると考える.肉芽形成・上皮形成作用を有する外用薬創の清浄化後は肉芽組織を形成させ,上皮化へと移行させる.肉芽形成は適切な湿潤環境が不可欠であるが,ポケットの修復ではもともとポケット内の湿潤状態が高いために吸水性を重視する.ただし,創口部の乾燥傾向に注意する必要がある.トラフェルミン製剤(フィブラストRスプレー)は滲出液を増加する傾向があるため,ポケットに使用する際は配慮する必要がある.一方,上皮形成の段階では,肉芽形成時とは逆に必要な湿潤状態は低下する.低下しない場合は上皮化が進展しにくい.上皮化が進まない場合には,吸水性薬剤により意図的に湿潤状態を第1章外用薬の特性1型コラーゲンデコリンデコリン1型コラーゲン束のコラーゲン,デコリンほぐれたコラーゲン,デコリンSepharose CL-2B によるゲルろ過通常のガーゼヨードホルムガーゼ1日後(μg/mL)20 30 40 50 60 70 800100200300400500600企画No.20 30 40 50 60 70 800100200300400500600(μg/mL)企画No.タンパク質濃度タンパク質濃度図1-12 コラーゲンⅠ型の低分子化による清浄化作用a 使用前b 1 ~ 7日後図1-13 ヨードホルムガーゼによる壊死組織除去36