ブックタイトル外用薬の特性に基づいた褥瘡外用療法のキホン
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外用薬の特性に基づいた褥瘡外用療法のキホン
低下させる必要がある.このように治癒過程における湿潤環境の調節は滲出液量だけでなく,使用する薬剤特性の吸水性や補水性が影響し,外用薬による積極的な湿潤調節によって創の湿潤状態を一定のレベルに保持することが重要である.これを水分コントロール/インバランスと呼んでいる(図1-14)1).参考となる創面水分量は高齢者では60%としている.この水分コントロール/インバランスを行う際,単剤のみでは守備範囲が限られているため対応できない時期があり,その穴埋めを行い円滑な治癒過程をもたらすために吸水性薬剤と補水性薬剤をブレンドし,創の湿潤状態に適した調製された薬剤の必要性が生まれる.ブレンドすることにより薬剤の選択肢が広がり,停滞を回避することができる.筆者はブレンドした際の基剤や薬効成分の安定性を確認し,図1-15に示すエキスパート・F・ブレンド3)を考案したので参考とされたい.適切な薬剤の選択・使用に加え,薬剤の効く局所環境づくりが必要となる.褥瘡は圧迫やずれなどの外力の影響を受けやすく,創の変形により薬剤が創外へ押し出される.結果的に薬剤を滞留させることが困難になり,薬剤滞留障害を起こし,薬剤の効果が発揮されない状態に陥る.この状態を回避するために薬剤の効く局所環境づくり5 褥瘡外用療法で用いる外用薬:総論潰瘍発生治 癒創面の変化適正水分量60%壊死組織細菌量滲出液量創面水分量肉芽形成上皮化図1-14 湿潤調節による水分コントロール/インバランスの概念37