ブックタイトルアトピー性皮膚炎治療のためのステロイド外用薬パーフェクトブック
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アトピー性皮膚炎治療のためのステロイド外用薬パーフェクトブック
1 日米ガイドラインにおけるステロイド外用薬の選び方・使い方権が厚生労働省から日本アレルギー学会に委譲され,現在広く活用されている1).その英文化論文も発表されている2).日本皮膚科学会のガイドラインは1994年に日本皮膚科学会が診断基準を取り纏めたことを契機として3),2000年にADの治療を専門に診療する医師を対象とした「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」として公表され4),改訂版5)も出されている.また,2009年にはその英文化論文も公表された6).本稿では,欧米でのAD治療ガイドラインを紹介し7-9),わが国のガイドラインと欧米ガイドラインでステロイド外用療法の比較や現時点での評価について述べる.ステロイドの作用機序ステロイド(グルココルチコイド)はその臨床応用から半世紀以上の歴史が経過し,作用機序や副作用,あらたな産生機構が明らかにされてきた.その抗炎症作用から,日常診療で広く使用されている.本来ストレス応答性のホルモンであり,生体の恒常性の維持(日内分泌リズム)とストレス侵襲時の過剰な生体反応を抑制するための一過性分泌の2面性をもつ.長期の過剰投与は生体の本来の恒常性を破綻させる.実際の抗炎症作用の機序や生体での役割にはまだ多くの未知の領域が残されている.ステロイドは細胞質に存在する熱ショックタンパク(HSP90),抑制タンパク(Ⅰ)とcomplexを形成したレセプターに結合後,核内に移行し,ステロイド反応性の遺伝子を活性化させ,その薬理作用を発揮する(図1).? 抗炎症作用:皮膚炎局所で血管内皮細胞やリンパ球などの細胞膜の障害を抑制する作用 ? 抗アレルギー作用:NFκBやAP-1と呼ばれるサイトカイン産生,細胞接着分子発現などの発現・誘導を調節する転写因子の機能の抑制(transrepression),リポコルチンなどの誘導を介して(transactivation),炎症を制御する(genomic action)10)? 免疫抑制作用:リンパ球に対する直接的な機能抑制,細胞死(アポトーシス)の誘導による101