ブックタイトルアトピー性皮膚炎治療のためのステロイド外用薬パーフェクトブック

ページ
9/16

このページは アトピー性皮膚炎治療のためのステロイド外用薬パーフェクトブック の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

アトピー性皮膚炎治療のためのステロイド外用薬パーフェクトブック

第1 章ステロイド外用薬を使いこなすための基礎知識アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬の作用機序? ステロイド薬の薬効には,抗炎症作用,免疫抑制作用,細胞増殖抑制作用があげられ,それは外用薬でも同様である.? アトピー性皮膚炎の病態におけるステロイド外用薬の作用としては,まず毛細血管収縮による血管透過性亢進の抑制があげられ,もっとも早期に発現する抗炎症作用である.ステロイド外用薬の薬効の強さは,その毛細血管収縮能によってのみ判定されている.? ステロイド外用薬の他の作用点としては,T細胞,好酸球,マクロファージ,ランゲルハンス細胞などがあげられる.? ステロイド薬はTh1,Th2のいずれをも抑制するが,自然免疫,すなわちTh1の抑制作用が強い.このため急性炎症の鎮静化には優れるが,長期使用を行えばTh2反応へのシフトが起こり,アレルギー疾患増悪の方向に働く可能性がある.? ステロイド受容体に関しては,本来の受容体の発現低下とともにデコイ受容体の発現誘導が知られており,皮膚炎コントロール不良例でしばしばみられる,長期連用によるタキフィラキシーを裏づける知見といえる.? これらの作用機序を踏まえると,ステロイド外用薬は,まず十分な強さの薬剤で早期に炎症を鎮静化すること,不十分なコントロールのまま長期連用しないこと,症状改善後は間欠使用あるいはタクロリムス軟膏と組み合わせた維持治療を考慮すること,などが重要と考えられる.2KEY POINTS10