ブックタイトル在宅医療の排尿管理と排泄ケア
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在宅医療の排尿管理と排泄ケア
21在宅医療こそ生きるを支える排泄ケアを―衣・食・住・医から考える―A 排泄ケアには医療的側面と生活的側面が必要「尿の回数が多くて困っています.先生なんとかなりませんか?」在宅医療を行っていると,このような質問を介護している家族,もしくは医療介護スタッフから投げかけられる時がある.例えば心不全の患者であれば利尿薬が投与されることがあり尿回数は増えるであろう.また,高齢になれば膀胱機能の低下から蓄尿量も減り頻尿になることもある.そのような時に医療者としてどこまで向き合っているだろうか?医療的な側面から考えると排尿障害があるのか?蓄尿障害があるのか?尿路感染症の合併は?といったアセスメントが必要である.さらに薬剤の影響はないか?余分な処方がされていないか?といった現在行っている診療の見直しも必要となる.また,生活的な側面から考えると飲水量や食事量の情報収集,排泄方法の情報収集(トイレで排泄するのか?おむつで排泄するのか?など),使っている排泄用具は何か?尿の回数が多いのはどの時間帯なのか?といったアセスメントが必要である.この両者を考えずに「頻尿があるから排尿回数を減らすといわれている薬を投与する」といった対応をしていないだろうか?もしくは医療的な側面しか考えず,患者の状態が安定していれば排尿回数が多くても問題ないと判断し,それ以上考えることをやめてしまっていないだろうか?例えば下記の事例であれば読者の皆さんならどのようにアプローチするだろうか?事例 84 歳女性 脳梗塞後遺症(左片麻痺)心不全 心房細動 尿道留置カテーテル挿入(退院時から挿入されていた)状態心不全に対して利尿薬が投与されているため1 日1,500 mL 以上の尿量があり,かつ脳梗塞による左片麻痺のため排泄行為がスムーズに行えな