ブックタイトル在宅医療の排尿管理と排泄ケア

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概要

在宅医療の排尿管理と排泄ケア

39腎瘻の基礎と管理5尿路変向(変更)術とは,通常の生理的な尿の排出経路が何らかの原因で障害された時に排出経路を確保するために行う外科的な処置のことである.まず,正常の尿路の名称と尿路変向の一部を模式図で図5-1 に示した.尿路変向の管理を考える上で,尿路の解剖を知ることは重要である.筆者は30 年近く泌尿器科の専門医として診療を行ってきたが,内科の医師ですら尿道と尿管を混同している場面を多く見てきたので,まずは尿路の名称を理解していただきたい.通常,尿は腎実質で生成され,腎盂という容量が5 ?8 mL 程度の比較的狭い空間を介して尿管へと流れ,その後両側の尿管からの尿は膀胱という容量が200 ?600 mL 程度の下腹部にある袋状の臓器に流れ込む.そこである程度尿が溜まれば通常は尿意を感じてトイレに行き尿道を介して排出される.男性には,膀胱直下の尿道を取り囲むように前立腺が存在する1).そのどこかで排出経路が障害されると尿路変向(術)が必要となる.ちなみに尿路変向術には,ストマは必要だがカテーテル挿入は不要の回腸導管やチューブレス尿管皮膚瘻,ストマもカテーテルも不要の自然排尿型腸管代用膀胱等様々な種類がある2 ?6)がその詳細は省略して,今回は腎瘻と膀胱瘻(6章参照)に関してその基礎と管理を中心に説明をしたい.腎瘻とは,腎臓のある側背部の皮膚から腎臓を介して直接腎盂までカテーテルを挿入して尿を排出する尿路変向7)である(図5-2).1.適 用何らかの原因で尿管の通過障害が起こった時,通常はまず経尿道的な尿管ステント留置が試みられる.尿管ステントがうまく腎盂と膀胱の間に留置できれA 腎瘻の基本事項