ブックタイトル在宅医療の排尿管理と排泄ケア

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概要

在宅医療の排尿管理と排泄ケア

40Ⅱ ● 排泄管理に関する知識と技術ば,腎盂の尿はそのステントの内腔を介して膀胱まで流れるため,膀胱に多少の違和感はあるものの外見上は全く異常なく排尿が可能である.尿管の通過障害の原因としては,①尿管自体の異常と,②尿管の周囲の異常に分けられる.①には,尿管癌5)や尿管結石や尿管の良性ポリープのほかに小児によく見られる先天性の腎盂尿管移行部狭窄症等がある.②は尿管周囲の組織が尿管を圧迫して起こるものであり,膀胱癌が尿管口や尿管に浸潤した場合,大腸癌や子宮癌や胃癌などの悪性腫瘍が後腹膜に浸潤した場合,後腹膜腔の尿管周囲のリンパ節に癌が転移した場合に多い.それ以外にも後腹膜線維症,子宮内膜症,巨大な子宮筋腫,下腹部の手術に伴う医原性の尿管損傷等で起こり得る.いずれにせよ尿管通過障害が起こった場合は各々の疾患の治療を行いつつ,場合によっては尿管の一部を切除して尿管-尿管吻合や尿管-膀胱新吻合でつなぎ直したり,小腸の一部を代用して尿管につないだりする手術5,6)が行われることがある.尿管ステント留置やそれらの試みがどうしても困難な場合に,腎瘻カテーテル挿入術の適用となることが多い.というのも,腎瘻管理は他の尿路変向に比べ管理が難しく,また患者の側背部にカテーテルがあるため患者のQOL を損なうことが多いからである.さらに,腎実質という血管の塊の臓器に穴をあけて腎盂にカテーテルを挿入するため,簡単な手術とはいえ出血の図5-1 尿路と尿路変向の方法前立腺(男性)腎瘻カテーテルじんう腎盂腎臓尿管尿管皮膚瘻カテーテル膀胱瘻カテーテル尿道留置カテーテル膀胱尿道図5-2 腎瘻カテーテル