ブックタイトルクロストークから読み解く周産期メンタルヘルス
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クロストークから読み解く周産期メンタルヘルス
104 年齢20 代後半既往歴・現病歴 経産婦で,夫(30 代前半),長男(3 歳),次男(1 歳)と4 人暮らし.X ? 8 歳時に人工妊娠中絶した.X ? 6 歳時に結婚.結婚後すぐに自然流産を経験.第2 子妊娠中,切迫早産の既往あり.精神障害の既往や精神科受診歴はない.今回,自然妊娠が成立し,妊娠6 週に産婦人科を初診し,妊娠管理を行っている.妊娠24週の診察時に妊婦の身体に複数の皮下出血を認めた.症例当院の妊婦健診を受けに来られている経産婦の女性です.現在,妊娠24 週です.健診時に背中,大腿など不自然な位置に皮下出血があることに気付きました.私が,皮下出血について「これ,どうされましたか?」と尋ねたら,表情がさっと険しくなって「よく,ぶつけてしまうので」と言ったきり黙ってしまいました.衣服を着ると見えない位置に,新旧複数の皮下出血があり,何らかの暴力を受けているのではないかと心配になりました.1 医療者が妊産婦の暴力被害に気付いたときの初期対応助産師精神科医助産師周産期に受けた身体的・性的・7 心理的暴力Ⅱ 妊婦健診時に妊婦の身体に複数の皮下出血があることに助産師が気付いた.助産師は産科医と相談し,被暴力による外傷の可能性があると判断した.そこで,妊婦と胎児の安全を確保するため,医療者がどのように介入すればよいか検討する目的で,担当の産科医,助産師と,コンサルテーションを受けた精神科医がケースカンファレンスにてクロストークすることとなった.さらに後日,産科医,看護師と地域支援機関の保健師との間で連携のための情報交換と介入方法の検討を行った事例である.事例で読み解く周産期メンタルヘルス<妊娠期編>院内コンサルテーションにおいても,当事者の同意が得られない場合には個人情報保護の観点から個人が特定される情報は開示しないよう配慮する.Point 1