ブックタイトルクロストークから読み解く周産期メンタルヘルス
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クロストークから読み解く周産期メンタルヘルス
132 1 緊急入院を要する産褥精神病Ⅲ 産褥期には抑うつや不安などの精神症状が出現しやすいが,まれに興奮,妄想などの著しい精神症状を伴うこともある.産褥精神病として以前より知られているものの,診断,治療については近年になり少しずつ知見が得られつつある段階である.本項では,産褥精神病の診断と対応,家族支援について,助産師,保健師,小児科医などの多職種の医療保健関係者と精神科医のクロストークを交えながら,精神科診断,対応,薬物療法を含むケアについて解説する.年齢30 代前半既往歴0 経妊0 経産.精神科既往含め,特記すべき事項なし.生活歴大学卒業後,事務職として就労.X?3 歳で結婚,夫と2人暮らし.家族歴特記事項なし病前性格やや神経質現病歴 X?1 年6 月に妊娠(双胎)が分かり,9 月末に退職.12 月より自宅から数十分のところにある実家の母が泊まりこみ,家事などを手伝っていた.X 年1 月中旬,妊娠39 週で正常分娩.母子ともに順調な経過だった.授乳していたため夜間の睡眠はやや短かったが,日中に休息をとるなどできていた.しかし,出産後3 日目より授乳中以外も睡眠が浅くなり,「自分の子はきちんと母乳を飲めているだろうか」など,育児に対しての不安を強く感じるようになった. 産後5 日目に退院.自宅に戻り,引き続き母が面倒をみていたが,その後も不眠,不安が強まり,落ち着きなく歩き回ることも増えた.産後20 日を過ぎ,週末は夫も一緒に過ごしてなだめていたが,抑うつ的で「もう死んでしまいたい」と話し,自宅を飛び出し家族が連れ戻すこともたびたびあった.食事や睡眠もほとんどとれていなかった. 週明けの産後23 日目に,夫と両親に連れられ直接来院し,産科外来の助産師が対応し面談した.助産師から連絡を受け,同日周産症例事例で読み解く周産期メンタルヘルス<産後編>