ブックタイトルここが知りたい職場のメンタルヘルスケア 改訂2版

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概要

ここが知りたい職場のメンタルヘルスケア 改訂2版

184chapter-3 こんなときどうする? 職場におけるメンタルヘルス不調への対応 アセスメントassessmentとは直訳すると「評価」「査定」を意味する.ここでいうアセスメントは,必要かつ的確な情報を得て問題を把握し評価することである.そのためには,相談者の立場に立ちつつも中立的な視点を欠かさないことが重要である.職場は病院とは異なり,健康管理室にやって来た人が必ずしも病人とは限らない.明らかに精神的に病的な状態に見えても,その人が即「患者」になるとは限らないし,明らかな疾病が存在しなくても言動から職場としてはメンタルヘルスの問題なのではないかと見なされる人もいる.そのような条件下で適切な支援を行うためには,必要な情報をいかに集め,どう見立てていくかにかかってくる. では,精神科医,臨床心理士などのようなメンタルヘルスの専門家でない産業医や産業保健スタッフでは,よいアセスメントはできないのであろうか.そんなことはない.ポイントをおさえて面談することによって十分な情報を得られ,支援の端緒とすることができる.1 相談者から情報を得る際のポイント1 誰が相談対象になるのかをおさえる クライアント(相談に来る人)は,問題を抱えている当事者のみとは限らない.上司,同僚,部下など周囲の人々が当事者を心配して相談に来ることもある.また場合によっては,家族が当事者の状態を心配して健康管理室に電話などで相談してくることもある.当事者への支援は「本人が相談に来ないと始まらない」と思われるかも知れないが,周囲の人々がどのように対応したらよいかなど適切に支援することから当事者に対する支援を適切に開始するきっかけができる.2 相談に来たことをねぎらう 近年メンタルヘルスに関する知識が普及し精神科受診患者が増加するなど,メンタルヘルスや精神医療への偏見や抵抗感が減ってきているとはいえ,メンタルヘルスに関する相談をしに来るまでには通常は相当の葛藤があったはずである.そういったところにもしっかり気を配り,「よく相談に来てくださいましたね」「大変な思いをされていますね(されたのですね)」「どんなことから話されてもいいんですよ」などと言葉を添え,「相談しに来てよかった」と思ってもらえる話しやすい雰囲気をつくりたい.3 基本情報を集める クライアントや相談対象者の基本情報を収集する(表3-1). これらの情報をすべて収集することは難しいが,できるかぎり収集しておけば初期対応についての判断をする上でとても参考になる.A アセスメントのポイントを知りたい