ブックタイトルここが知りたい職場のメンタルヘルスケア 改訂2版

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概要

ここが知りたい職場のメンタルヘルスケア 改訂2版

186chapter-3 こんなときどうする? 職場におけるメンタルヘルス不調への対応相談者からは主に心身の不調について語られることが多いが,それ以外の問題も浮き彫りになることがある.業務上の問題(業務量,適性,人間関係,キャリアなど)と業務外の問題(健康,経済,婚姻,家族,人間関係など)に分けて整理するとよい.特にプライベートなことについては本人があまり話したがらない場合は深入りせず,何回か面談して信頼関係ができてから本人から自然に話すようになるのを待つほうがよい場合もある.cWHERE:どこで問題になっているのか 対象者の問題がどこで起こっているのかを確認する.職場のみにおける問題なのか,それとも家庭など職場外でも問題になっているのか.職場と職場外での問題の現れ方は同様のものか,それとも異なっているのか.たとえば,職場では元気がない様子であるが家庭ではイライラして家族に当たっている,オフィスでは普通に仕事をしているが営業先ではほとんど行動していない,などである.dWHEN: いつから問題になっているのか,どんなときに問題になっているのか 問題が起こり始めた時期,あるいは問題を周囲が把握した時期について把握する.「いつから」とは入社した当初からなのか,異動してからなのか,何年何月頃なのか,何か出来事のあった時期と一致しているか,などである.「どんなときに」とは時間帯や場面などを指し,「午前中はいつも元気がない」などである.eWHY:なぜ相談に来たのか 本人がメンタルヘルスの問題を自覚していたり,周囲が問題に気づいていたりしても,すぐに産業医や健康管理スタッフに相談するとは限らない.「こんなことは人に相談すべきことではないだろう」と自ら抱え込んでしまったり,あるいはすでに他者に相談しているかもしれない.「なぜ今このタイミングで相談に来たのか」「なぜあなたのもとに相談しに来たのか」という視点も忘れずに情報収集する.また,相談に来たのは自分の意思なのか,あるいは同僚に勧められたからか,上司の勧めや指示かという情報も,本人の問題意識をはかる上で重要である.fHOW:これまでどう解決しようとしたか,それでどうだったか 起こった問題に対して相談者やその周囲の人々がこれまでどのような対応を取り,その結果どうなったかを確認する.それまでに取られてきた対応が必ずしも適切でなかったこともある.しかしここではそれを批判することは避け,適切でない対応を取らざるを得なかった事情も理解する.gYES/ NO,WHICH 「5W1H」で得られた情報などを利用して「困っていらっしゃるのはAさんとBさんなのですね」のようなYES/NO式の質問,「あなたが職場で先に相談した相手は上司ですか,それとも同僚ですか」のようないくつかの選択肢から一つを選ぶ質問をしながらまとめていく. 以上のように,どのような聞き方をするかによって得られる情報量,明確さ,答えにくさはそれぞれ異なるということを知っておく必要がある.神田橋の著書「精神科診断面接のコツ」にこのことを視覚的に表した図があるので引用する(図3-1)1).図内の①と②は回答は簡単で明確であるが,その一方で得られる情報量は少なくなる. ③は視覚的に置き換えやすい質問であり, ④は場面,時,方法,ありようなど視覚的に置き換えにくいものを含む質問である. ⑤は理由や意味を