ブックタイトル動きながら考える!内科救急診療のロジック

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概要

動きながら考える!内科救急診療のロジック

2Ⅰ. 総 論 診療にかける時間の余裕は,病棟診療≧ 一般内科外来診療≧“walk in”の救急外来診療≧救急車診療のような関係性にある(一般的に,病棟診療が最も時間に余裕があり,救急車診療が最も時間に余裕がない).そのため,前者では問診→ 診察→ 検査→ 治療の順で系統だてて(教科書どおりに)診療を行うことができるが,後者になればなるほど,時間の制約により問診,診察,検査が入り交じりながら同時進行で診療が進んでいく.教科書どおりの順序で系統だてて診療するほどの時間的余裕がないことが多い.つまり,救急車診療では診療の質を保ちながら,迅速に入院の必要性を判断し,治療へとつなぐ診療速度が重視される.そのため,「動きながら考える」ことが必要不可欠となる. 本書では,「動きながら考える」ために,初期診療を<行動>と<思考>の2 つに分けて考え,それぞれを行き来しながら診療を進めていくことを提案する. 以下に筆者らが考案した,初期診療を<行動>と<思考>の2 つに分けて考える内科救急診療方法の詳細について説明する.行動編 ERでの診療における行動を6つのステージに分け,各ステージで行うべきことを定めた.これによって診療中に「あれもしなければならない,これもしなければならない」などと迷うことで,手や足が止まってしまう可能性は少なくなる. 初期ステージ(Pre-Primary surveyとPrimary survey)に費やすことができる時間は限られているため,まずは生命の維持に欠かせないABCD,つまり「A」(airway),「B」(breathing),「C」(circulation),「D」(dysfunction of central nervous system〔CNS〕)の異常に着目して診察を行う.ABCD が安定し,比較的時間に余裕ができた後期ステージ(Secondary survey 以降)では,初期ステージで拾いきれなかったプロブレムに対し詳細な問診やtop to bottom(頭から足先まで)を意識した診察を行い,詳しく情報を収集する.1 内科救急診療のロジック