ブックタイトル地域とつながる 高齢者救急実践ガイド

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概要

地域とつながる 高齢者救急実践ガイド

  1691 高齢者救急診療総論―見落としなく元の生活に戻ることを目標としたよりよい高齢者救急対応のためにPOINT▲地域包括ケアシステムのなかで,ER は重要な役割をもつ.▲ER でも老化過程の評価を行う.▲受診時から終末期も含めた転帰を検討する.高齢者の診療は,難聴や記憶力低下のために病歴聴取が困難,多数の基礎疾患や内服薬,生活環境やふだんのADLへの配慮,典型的なバイタルサインや身体所見を呈さないなど,医師には相応な知識とスキルが求められる.また,単に病を治すことだけでなく,病と共存してどのように生活するかというマネジメントも要求される. 近年, 高齢者総合機能評価(comprehensivegeriatric assessment:CGA)が広く用いられるようになったが,救急診療でも,ADL,認知機能,気分・意欲を系統的に評価する試みがなされ,これにより予後が改善されると報告されている 1, 2).地域包括ケアシステム下の救急医療はかかりつけ医経由となり,その目標は,救命や病態の改善はもちろんのこと,加えて,地域で生活できるように戻すことが求められている 3).救急医療,ERは今後さらに重要な役割,その質の向上が求められている.本稿では,高齢者の特性を把握した救急診療とともに,救急受診を医療者とのかかわりの窓口として,さらに病に対してだけでなく,生活の質の向上に寄与することまでを視野に入れて対応できるように概説する.第Ⅰ章 高齢者救急の基礎知識3 高齢者救急診療のポイント