ブックタイトル肉腫化学療法マスタークラス
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肉腫化学療法マスタークラス
1 骨肉腫 osteosarcoma3組織学的に骨形成型(osteoblastic),軟骨形成型(chondroblastic),線維形成型( broblastic)の3 型に亜分類される.b)血管拡張型骨肉腫 telangiectatic osteosarcoma病変の95 %以上が嚢胞成分で占められ,内部に血性液を含み,嚢胞壁・隔壁に異型の強い悪性腫瘍細胞が存在する.頻度は全骨肉腫の約1 %とされる.腫瘍性類骨形成が目立たないことも多く,動脈瘤様骨嚢腫との画像的および病理組織学的な鑑別が問題となる.c)小細胞型骨肉腫 small cell osteosarcoma小円形腫瘍細胞が腫瘍性類骨の形成を伴って増殖するまれな亜型であり,頻度は全骨肉腫の約1 %とされる.Ewing 肉腫との鑑別には,FLI1 の免疫組織化学染色や,Ewing 肉腫に特異的な融合遺伝子(EWS-FLI1,EWS-ERG など)の検索が有用である.d)骨内高分化骨肉腫 low-grade central osteosarcoma髄腔発生の低悪性度骨形成性腫瘍である.その頻度は全骨肉腫の1~2 %とされ,好発年齢は30 歳前後と,通常型骨肉腫よりも高めである.組織学的には,一見反応性にみえる骨形成と比較的おとなしい線維性増生を基本とし,良性の線維性骨異形成との鑑別が困難な場合がある.高悪性化(脱分化)が10~36 %の頻度で報告されており,高悪性化症例のみが化学療法の適応となる.2. 表在骨肉腫a)傍骨性骨肉腫 parosteal osteosarcoma骨表面発生の低悪性度骨形成性腫瘍である.その頻度は全骨肉腫の約4 %で,好発年齢は20 ~ 30 歳代である.大腿骨遠位部の後面に好発する(約70 %).組織学的には,一見反応性にみえる骨形成と比較的おとなしい線維性増生を基本とする.高悪性化(脱分化)成分が共存することがあり,高悪性化症例のみが化学療法の適応となる.b)骨膜性骨肉腫 periosteal osteosarcoma骨表面発生の中等度悪性の骨肉腫であり,その頻度は全骨肉腫の2 %未満とされる.組織学的には,軟骨形成型骨肉腫の組織像を呈する.化学療法の有用性は確立されていない.