ブックタイトル肉腫化学療法マスタークラス
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肉腫化学療法マスタークラス
Lesson 5. 肉腫化学療法の組織別治療戦略を理解する194AEWS0031 研究 2)では,VDC/IE においてG-CSF を併用し2 週間隔で計14 コースの治療を行った.3 年無病生存率は,標準療法と比較すると 65%と 76%(p=0.029)と有意差を認め,18 歳以下でG-CSF を併用し治療期間を短縮した2 週間隔の治療が,予後の改善を認めている.米国では,この期間短縮治療が選択されている.EICESS-92臨床研究 4)では,標準リスク群にVACA療法,またはVAIA療法を用いている.標準リスク群の治療成績において,VACA 療法では,5 年無病生存率は67 %,5 年全生存率は82 %,VAIA 療法では,5 年無病生存率は68 %,5 年全生存率は84 %と有意差は認めていない.有害事象は,VAIA 療法のほうが少なかったと報告されている.b)転移例転移例に対する標準的な治療プロトコールは確立されていない.INT-0091(CCG-7881/POG-8850) 1)では,転移例のVDC/IE の交代療法の5 年無病生存率は22 %であった.EICESS-92 臨床研究 4)では,転移のある高リスク群では,VAIA 群とEVAIA 群の比較では,5 年無病生存率はともに30 %前後であった.EURO-E.W.I.N.G. 99 5)(図2-1)では,VIDE 療法を6 コース施行後,局所療法を行い,VCR+Act-D+IFO(VAI 療法)1 コース施行した後に大量化学療法を施行する.大量化学療法(表2-2)を用いた移植の適応は,化学療法に反応性が良く,移植時に転移部位も含め完全寛解(complete remission;CR)である症例と考える.大量化学療法レジメンは,表2-2 に示したようにさまざまな移植前処置が用いられており,いまだ標準的なレジメンは確立されていない.移植前処置に用いる大量化学療法レジメンの選択は,EURO-E.W.I.N.G. 99 でも用いられているブスルファン(busulfan;BUS),メルファラン(melphalan;L-PAM)が多く用いられている.3. 治療の実際,短・長期的な副作用a)治療の実際実際,治療を開始する際には,レジメンを選択して治療を開始するが,Ewing 肉腫は,集学的治療を必要とするので,整形外科医,放射線治療医などの関係している担当科と連携を十分に図り,治療計画を立てる必要がある.発症部位により治療の選択が異なるため,外科的に切除可能な部位なのか,術前に放射線照射を行うのか,正常な臓器への放射線治療の影響を考慮に入れた治療計画を立てる必要がある.