ブックタイトルがん患者の輸液・栄養療法
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がん患者の輸液・栄養療法
の化学療法や放射線療法の支持療法として栄養管理はもっと重要視されてよい.がんの化学療法の有害事象は,骨格筋量の少ない症例でより強く出現するという報告がある.手術以外の治療を受けるがん患者でも,体重の維持,骨格筋量の維持は大変重要なのである.消化器がんの手術を受けた症例では,しばしば臓器欠落症状としての消化・吸収障害が認められる.その場合,医師や管理栄養士は消化・吸収を受けにくい食品の摂取を控えさせるべきではない.その前に,さまざまな消化酵素薬や消化管機能調整薬を投与し,患者にもたらされた消化・吸収能の可及的な補完に努めるべきである.治療によって患者にもたらされる不都合を最小限度に留めるよう全力を尽くさなくてはならない.がんの終末期にみられる悪液質は,骨格筋量と体脂肪量の双方が減少する病態である.不応性の悪液質に至った場合,積極的な抗腫瘍療法は差し控えられることになる.しかし,適切な栄養療法が施されなかったための栄養状態の低下と,がんの進行による栄養状態の低下,悪液質の進行が取り違えられる可能性がある.悪液質を前悪液質の状態に戻す栄養管理,不応性の悪液質に陥る時期を遅らせる栄養管理が望まれる.予防医学を含めた最近の医学の進歩をもってしても,がんが克服されるまでの道のりは果てしなく遠い.がんと向き合い続ける医師と患者にとって栄養管理はきわめて重要な意義を持つ.本書では,がん患者の輸液・栄養療法とその管理についての要点が網羅されている.多くの多忙な,経験豊かな筆者が本書の執筆を快く引き受けてくださった.本書が上梓されるにあたり,筆者の先生方に深甚な感謝の意を表したい.そして,本書ががんの診療に携わる医師の方々のお役に立てることを祈念し,序文とする. 2014年夏上尾中央総合病院外科・腫瘍内科顧問大村健二