ブックタイトル乳癌診療のための分子病理エッセンシャル

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概要

乳癌診療のための分子病理エッセンシャル

  63C.乳癌の組織型・組織像とその分子病理学的背景浸潤癌である.扁平上皮内に存在する腺癌細胞をPaget細胞と称する.3. 乳癌の組織型とサブタイプ多様性が強い乳癌を表現するのは非常に難しいが,乳癌の性質を表現する方法としては形態学的分類と生物学的サブタイプ分類がある.形態学的分類には組織型分類と悪性度分類がある.生物学的サブタイプ分類は,mRNA発現プロファイルを用いた内因性サブタイプ(intrinsicsubtype)が提唱されており,この分類を一般臨床に用いるために免疫組織化学的手法(いわゆる免疫染色,IHC 法)を用いた臨床的サブタイプが考案され,実地臨床の場で汎用されている(?p.120?141).具体的にはホルモン受容体(HR)〔(エストロゲン受容体(ER),プロゲステロン受容体(PgR)〕ならびにHER2により乳癌の個性が規定される.その組み合わせは,HR(+)・HER2(?):luminal type, HR(+)・HER2(+):luminal・HER2 type, HR(?)・HER2(+):HER2 type,HR(?)・HER2(?):triple negative typeとなる.HR ならびにHER2 の蛋白発現状況は,免疫組織化学的方法(免疫染色)で検索される.HR は核(図C-1-26),HER2 は細胞膜(図C-1-27)が発色されるのが陽性所見である.HR図C-1-23 浸潤性微小乳頭癌癌の間質浸潤成分が,微小乳頭状の癌胞巣で形成されている.図C-1-24 基質産生癌癌の間質浸潤成分は,浸潤性乳管癌と軟骨基質により形成されている.図C-1-25 Paget病腺癌細胞が乳頭の扁平上皮内に進展している.