ブックタイトルがん疼痛の処方・さじ加減の極意
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がん疼痛の処方・さじ加減の極意
1 がん患者の痛みの評価がん疼痛治療の戦略を立てるためには,まず痛みを正しく評価することから始める必要がある.ここでは,痛みの評価方法と治療戦略について,医療者として注意してもらいたいことやコミュニケーション上の注意点も含めて概説する.がん患者の痛みを正しく評価する1 痛みの原因は何か?がん患者が痛みを訴えているからといって,そのすべてががんによる痛みではない.がん患者の訴える痛みには,表2-11)に示したように,さまざまな種類の痛みがある.胸痛が心筋梗塞だったり,腹痛が便秘によるものであったりというようなこともある.特に新しく出現した痛みについては,身体診察や画像検査などを行い,痛みの原因ががんによるものであることを確認する必要がある.2 痛みの性状と程度を評価する痛みは大きく侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛に分けられる.侵害受容性疼痛はさらに,体性痛と内臓痛に分けられる(表2-2).体性痛なのか内臓痛なのか,あるいは神経障害性疼痛なのかを分類することは,治療方針を決める上で重要である.また,1日中痛みが続いている「持続痛」なのか,時々痛みが強くなる「突出痛」なのかについても確認する(図2-1).突出痛はさらに,例えば骨転移の患者のように,寝返りを打つと痛みが強くなるというような痛みの原因が「予測できる突出痛」と,蠕動痛のように,いつ痛みが強くなるか分からない「予測できない突出痛」,定時投与薬の切れ際に痛みが増強する「定時投与薬の切れ際の痛み」の3つのサブタイプに分類される.加えて,痛みの強さを評価することも重要である.「全く痛くないのを0点,考えられる最悪の痛みを10点とすると今の痛みは何点ですか?」と,痛みの218