ブックタイトル免疫チェックポイント阻害薬の治療・副作用管理

ページ
5/8

このページは 免疫チェックポイント阻害薬の治療・副作用管理 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

免疫チェックポイント阻害薬の治療・副作用管理

166第Ⅳ章 免疫チェックポイント阻害薬の副作用管理まるものもある.そのため,これを患者の報告だけに頼っていると,その重篤化を見逃す場合がある.また,副腎機能不全,下垂体機能不全,甲状腺機能障害など,内分泌系の副作用の早期診断は,ときに困難なことがある.例えば重篤な免疫性肺炎は,軽い咳や体動時の息切れのような風邪の初期と区別がつけられない症状で始まることもある.スタッフが少ない病院では困難なことかもしれないが,それぞれの患者が次の治療を受ける前に,必ず患者を診察し,将来,重篤な副作用に発展するかもしれない軽微な自覚・他覚症状がないかを確認することが望ましい.また,治療期間中は定期的に血液検査を施行し,免疫チェックポイント阻害薬の副作用が出現してきていないかを確認することが必要である.表Ⅳ -1-1 に,副作用のチェックのために定期的に施行することが勧められる検査を示す.4 … 副作用への迅速な対応ここで最も大切なことは,もし重篤な副作用が起こってきていると考えられる場合に,「誰に」「どの段階で」「どのように」連絡をとればよいかということを患者に予め明確に示しておくことである.これには就業時間内での対応はもとより,いわゆる時間外での対応も含まれる.スタッフの人数が十分に確保できない施設では,時間外の対応まで自分たちで行うことは難しいかもしれないが,少なくとも次の日の就業時間内に,患者やその家族が前日に起きたこ表Ⅳ-1-1 免疫チェックポイント阻害薬使用時に施行すべき検査項 目細 目検査の頻度一般身体所見体重,体温,脈拍,酸素飽和度(SpO2%)治療薬投与前(毎回治療時)血液一般CBC, differential 治療薬投与前(毎回治療時)電解質BUN, Cre, Na, K, Cl, bicarbonate 治療薬投与前(毎回治療時)肝機能T-bil, AST, ALT 治療薬投与前(毎回治療時)膵機能lipase, glucose 治療薬投与前(毎回治療時)甲状腺機能TSH, 異常であればT4, free T4, T3 を追加4?6 週間毎,もしくは症状出現時副腎機能ACTH, cortisol 4?6 週間毎,もしくは症状出現時