ブックタイトル免疫チェックポイント阻害薬の治療・副作用管理

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概要

免疫チェックポイント阻害薬の治療・副作用管理

1761. 腸管障害腸管障害は,抗CTLA-4 抗体のipilimumab でより高頻度で認められるが,抗PD-1抗体のnivolumabやpembrolizumabでも見られる.早期に介入すれば,ほとんどの場合,症状コントールは可能であるが,介入が遅れるとステロイドによる症状改善にさらに時間がかかり,まれに腸管穿孔などによる死亡例も報告されているため,注意が必要である 1).Ipilimumabの承認につながった第Ⅲ相試験では,下痢が30%程度に見られている 2).下痢に伴って発熱や腹痛,あるいは下血を見ることもある.これはCTCAE v4. 0 ではcolitis と分類される.10%程度にみられるGrade 3 以上の下痢でも多くの場合,速やかに経口ステロイド(prednisolone 1?2 mg/kg)で症状の改善を認める.症状の改善が認められない場合は,静注のステロイド(methylprednisolone 1?2 mg/kg), あるいはinfliximab(5 mg/kg)の投与が必要になることもある 3, 4).高用量のステロイド1?2 mg/kgが必要となるような症例では,最低でも4 週間以上かけて漸減することが勧められる.日和見感染を防ぐための抗菌薬の予防投与も考える必要がある.免疫チェックポイント阻害薬による副作用では,ステロイドをタイミングよく使用することが症状の重篤化を防ぐ上で重要であるので,下痢がひどくなってきた場合は,検査結果を待たずにステロイドを開始することが多いが,ステロイドを始める前にクロストリジウム腸炎を含む細菌性腸炎などの感染性腸炎を除外するための検査をすることは大事である.CT などの画像検査,また内視鏡などで病変の状態を確認することも有用である 5).生検を行うと,好中球やリンパ球などの炎症細胞の浸潤が見られること,また腸炎を起こした症例では,腸炎にならなかった症例と比較して治療に対する奏効率が高いことも報告されている 6).抗PD-1抗体による下痢や腸炎の発現頻度は,すべてのGrade で10?20%,Grade 3 以上は数%とされ,抗CTLA-4抗体のipilimumab に比べて明らかに頻度は少ない 7).腸管穿孔などの重篤な合併症を防ぐためには,患者教育だけでなく医療ス注意すべき副作用と2 その管理