ブックタイトル免疫チェックポイント阻害薬の治療・副作用管理

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概要

免疫チェックポイント阻害薬の治療・副作用管理

204免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1/PD-L1抗体薬は,多くのがん腫の臨床試験において良好な結果を得ている.現在は治療効果を期待できる患者集団を同定すべく,効果を予測するためのバイオマーカーの確立が重要な課題となっている.すでにいくつかの臨床試験において,腫瘍細胞もしくは腫瘍浸潤免疫細胞(immune cell:IC)におけるPD-L1 の発現が,治療効果を予測するのに有用であることが報告されている.米国では各製薬会社が自社が持つ抗PD-1/PD-L1抗体薬の効果を予測するPD-L1免疫組織染色キット(システム)を同時に開発してきており,FDA はそれぞれのキットを抗PD-1/PD-L1抗体薬と同時に承認してきた(表V-2-1).抗PD-1/PD-L1抗体薬の効果を予測するためのPD-L1免疫組織染色の問題点は,以下のようなことが挙げられる.①PD-L1免疫組織染色キットが,それぞれの臨床試験にあわせて開発されており,キット間に互換性がない場合がある.②PD-L1の陽性基準が,それぞれの臨床試験によって異なっており,それぞれの抗PD-1/PD-L1抗体薬の有効率と腫瘍細胞,もしくは腫瘍浸潤免疫細胞のPD-L1陽性率との相関を比較検討する際の大きな障壁となっている.③抗PD-1/PD-L1抗体薬の効果が,腫瘍のPD-L1陽性率と必ずしも相関しない場合があり,腫瘍細胞のPD-L1が陽性であることだけをもって抗PD-1/PD-L1抗体薬の適応を決めることには現時点では限界がある.④PD-L1免疫組織に用いられてきた組織が,必ずしも抗PD-1/PD-L1 抗体薬の治療開始直前に採取されたものでないことがあり,抗PD-1/PD-L1抗体薬治療前の腫瘍微小環境を正確に反映しない場合もあると考えられる.本項では,米国においてFDA に承認されている各抗PD-1/PD-L1 抗体薬と同時に開発・認可された各PD-L1免疫染色キットについて紹介し,今後の課題とそれに対して現在行われている取り組みについて述べる.抗PD-1/PD-L1抗体薬の効果予測2 マーカーとしてのPD-L1免疫染色