ブックタイトル妊娠期がん診療ガイドブック

ページ
6/8

このページは 妊娠期がん診療ガイドブック の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

妊娠期がん診療ガイドブック

212妊娠期乳癌1 ─妊娠初期診断症例─症例30歳,1経妊0経産.妊娠8週.既往歴なし,家族歴なし.半年ほど前に右乳房のしこりを自覚していたが,良性腫瘤だろうと思い医療機関は受診していなかった.その後,自然妊娠が成立した.右乳房のしこりが以前より少し増大していることを産婦人科で相談したところ,乳腺科を受診するよう勧められ受診した.妊娠8週に当院を受診.右乳房に2.5 cm大の腫瘤を認め,針生検で浸潤性乳管癌(invasiveductal carcinoma)であった.核異形度3,エストロゲンレセプター陰性,プロゲステロンレセプター陰性,HER2陰性のトリプルネガティブ乳癌であった.腋窩リンパ節には超音波上,2つの腫大リンパ節を認め,腋窩細胞診はclass Ⅴであった.臨床病期はcT2N1M0 StageⅡBと判断した.【初診時身体所見】PS 0,身長162 cm,体重54 kg.右乳房に2.5 cm大の腫瘤を触知【初診時検査所見】マンモグラフィ:右上外側に高濃度腫瘤あり.周囲に明らかな石灰化を認めない乳房超音波: 右乳房C領域2.5 cmの境界明瞭腫瘤,血流豊富.右腋窩に腫大リンパ節を2つ認める腹部超音波検査:異常所見なし胸部X線撮影(腹部遮蔽にて撮影):異常所見なし病理組織診断(乳房): Invasive ductal carcinoma,NG 3,ER 0,PgR 0,HER2 0,Ki67 48%細胞診(腋窩):Class Ⅴ,Adenocarcinoma【臨床病期】 cT2N1M0 StageⅡB【妊娠経過】 受診時の胎児発育は正常初産であること以外に特記すべき産科的合併症なし