ブックタイトル乳癌薬物療法 改訂2版

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概要

乳癌薬物療法 改訂2版

・ 閉経後転移・再発ホルモン受容体陽性乳癌患者を対象にレトロゾール/ラパチニブとレトロゾール+プラセボにランダムに割り付けた.HER2陽性例ではそれぞれ111例と108例であった(表2).プライマリーエンドポイントはPFSに設定された.・ レトロゾールにラパチニブを上乗せすることで,奏効率とPFSを有意に改善させたが,OSについての有意差は示さなかった.・ Grade3/4有害事象の頻度は,ラパチニブ群8%,プラセボ群4%であり忍容性は良好であった.下痢の頻度は10% vs. 1%とラパチニブ群で有意に多かった.心機能低下は両群で1%未満であった.??タキサン系薬剤とトラスツズマブの併用療法は奏効率,PFS,OSを抗癌薬単独と比較して改善させることが証明されている3?5).??アンスラサイクリン系薬剤とトラスツズマブの組み合わせについては,アンスラサイクリン系薬剤単剤と比較して優れた奏効率と無進行期間の延長を示したが,重篤な心毒性を認めたためにアンスラサイクリン系薬剤との併用は推奨されない.??アンスラサイクリン系薬剤のなかでも心毒性が少ないとされるエピルビシンは,ドキソルビシンを用いた報告よりも心不全の発症頻度はきわめて少なかった6).??アンスラサイクリン系薬剤またはアンスラサイクリン系薬剤既治療例におけるパクリタキセル単独化学療法 vs. 化学療法+トラスツズマブ併用療法のランダム化比較第Ⅲ相試験2)・ HER2陽性進行乳癌患者を対象に469人が登録され,アンスラサイクリン系薬剤未治療症例は,アンスラサイクリンベースレジメン±トラスツズマブ,アンスラサイクリン系薬剤既治療例は,パクリタキセル±トラスツズマブに割付けられた(表3)5, 7?9).・ 化学療法+トラスツズマブ併用治療群は,化学療法単独群と比較して有意に奏効率,無増悪期間(TTP),OSを延長した.・ アンスラサイクリン系薬剤+トラスツズマブ併用群とアンスラサイクリン系薬剤レジメン群の心毒性の頻度はそれぞれ27% vs. 8%であり,アンスラサイクリン系薬剤とトラスツズマブとの同時併用により心毒性が高頻度に出現することが示された.・ この試験の結果から,一次治療パクリタキセルに対するトラスツズマブの上乗せ効果が示されたが,トラスツズマブとアンスラサイクリン系薬剤との併用は心毒性の点から同時併用は避けるのが原則となった.HER2陽性乳癌に対する一次治療におけるトラスツズマブと抗癌薬との併用表2 レトロゾール/ラパチニブ(2009年)治療レジメン治療タイミングn(HER2陽性のみ) RR PFS(月) MST(月) 症候性心不全LET+ラパチニブLET+プラセボ初回1111082815P =0.0218.23.0P =0.01933.332.3P =0.1131%以下1%以下LET:レトロゾール340