ブックタイトルわかる！つかえる！なおせる！消化管症候への漢方薬

概要

わかる！つかえる！なおせる！消化管症候への漢方薬

32第2 章　漢方治療の実際漢方診療の実際漢方所見■ ①脈：沈滑．②舌：やや胖はん大だい，湿潤，歯痕あり，白苔中等度．③腹：腹力軟弱～中等度，心しん下か痞ひ?こうあり，振水音軽度あり．処方決定のポイント（治療目標）■ 本症例は「慢性胃炎，嘔吐，胸やけ」などから，茯苓飲を選択した．■ 本方は，慢性の上部消化管の蠕動障害による胃もたれ，ゲップなどに有効である．■ 同様の症状でも，より虚弱体質の場合には六りっ君くん子し 湯とうあるいは茯ぶく苓りょう飲いん合ごう半はん夏げ厚こう朴ぼく湯とうが選択される．治療経過■ 茯苓飲を 1日 3 回投与．■ 3 日後，吐き気は軽くなった．■ 2 週間後，吐き気はほとんど起こらなくなったが胸やけは残存していた．■ 1 ヵ月後，胸やけも軽くなった．■ 2ヵ月後，胃部不快感は消失したため，さらに4週分を処方して治療を終了．処方変更のヒント■ 改善が認められない場合には，下記のチェック項目を参考にして変方する．□ 悪心が強い → 茯苓飲合半夏厚朴湯□ より虚弱 → 六君子湯□ 胃もたれ感が強い → 平胃散