ブックタイトル147処方を味方にする 漢方見ひらき整理帳

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概要

147処方を味方にする 漢方見ひらき整理帳

 本書は,わが国で保険収載されている経口漢方薬147 処方すべてを“サイエンス漢方処方”という新しい概念に基づき解説しました.サイエンス漢方処方では,漢方薬を多数の微量化合物の集合体と捉えています.そして,その化合物は生体に変調を起こしたシステムを正常化させることが可能ですが,その化合物の応答は生体と条件が合致したときのみ惹起されます. そのため,西洋薬と同様に“漢方薬が特定の症状に効く”関係,すなわち現象面でのみ漢方薬の効果を評価するだけでは不十分です.“漢方薬はちょうどよいところで効果が止まる”とか“変調を起こしていた患者のシステムが正常化したら,それ以上応答を続けることがない”という現象を説明するには,「漢方薬を服用した結果,応答が引き出され,身体のシステムが正常化した」というように“患者”を主軸とした評価や考え方をとらなければなりません. このように漢方薬を捉えると,その作用機序を解明するには,スーパーコンピュータや量子コンピュータを使った人体のシュミレーションモデルが必要となり,そこに超多成分薬剤システム(漢方薬はこう言い換えた方がよい)の情報を与えると,モデルがどのように応答するかという,システムバイオロジー的手法が基本になると考えられます. このような究極の形からみると,本書の内容はまだ発展途上ではありますが,中医学的,漢方医学的思考法を持たずとも,科学(サイエンス)をベースとした現代医学の思考法で適切な漢方薬を選択できるよう考慮し執筆しました.ただし,筆者の個人的な感性や経験を土台にしている関係上,独断が目に余るかもしれませんが,あくまでも筆者の意見ということでご容赦ください. 本書により漢方薬がより身近になり,日常診療の幅を広げるために活用されることを切望します. 2018年冬医療法人静仁会 静仁会静内病院 院長サイエンス漢方処方研究会 理事長井齋偉矢序