ブックタイトル臨床漢方小児科学
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臨床漢方小児科学
第二部 小児における漢方医学の基本136ベルでとらえることも重要である. 急性感染症では,傷寒と温病を区別して,病位を判断する.この場合,八綱分類でおおよその病位を把握することができる.7.漢方治療学総論?? 漢方薬の一般的特徴 漢方薬は,単一の成分からなる西洋薬とは異なり,非常に多種類の成分を含むことが特徴である.このような多種の成分すべてが薬効を示すわけではないが,これらが協調しあいながら,利点を活かし,欠点を抑える形で薬物として成り立っている.1 種類の生薬からなる漢方薬もあるが,通常は2 種類以上の生薬がブレンドされた複合剤である.この生薬を煎じて服用することが一般的である.1種類の生薬に多種の成分が含まれており,漢方薬では,生薬を複数使用することで,さらに多くの成分を含むことになる.そのうえ,これら複数の生薬を混合して煎じることで,新たな成分が産生されることもある.このため,1つの生薬単位の効能からは想像できないような薬効を示すこともありうるのである.したがって,1つの漢方薬で,さまざまな症状に対応することも可能となる.このため,異なった疾患でも,同じ漢方薬が処方されることもあり,逆に同じ疾患でも,患者の症状が異なれば,それに合わせて処方が異なることがよくある. 単一成分である西洋薬では,比較的副作用が生じやすく,体質が合わないと服用しづらいことがある.また,代用薬が少ないので,副作用を抑えるために別の薬剤が追加処方されることが多い.一方,生薬にも当然,副作用が存在するが,生薬を複合して成立した漢方薬は,その副作用を極力抑えるよう工夫されたものである.よって,西洋薬と比較して副作用が少なくなる.?? 漢方薬の古典的分類 漢方薬の内服薬として,剤型は主に,湯剤(煎剤),散剤,丸剤に分類される.基本的に漢方薬は,煎じ薬(湯剤あるいは煎剤)として投与される.煎じ薬に使用する生薬をさらに細かく刻み,挽いて粉薬としたものが散剤である.小児科領域では,五苓散が有名である.なお,五苓散を煎じ薬として用いる場合には,五苓散料と表現される.丸剤は,散剤を蜂蜜などで練り固めたものである.小児科領域では,六味丸が有名である.これも,煎じ薬として用いる場合には,六味丸料と表現される. 薬効発現時間は,剤型により異なる.最も早いのが湯剤,次が散剤,最も緩やかに効果が発現するのが丸剤である. なお,現在よく使用されているエキス剤は,煎じ薬を乾燥させたものである.?? エキス製剤と煎じ薬との比較 漢方薬は,ほとんどが複数の生薬の組み合わせによって構成されており,本来は生薬を煎じて服用するのが基本である.一方,現在147 処方の医療用漢方エキス製剤が保険適用となっている.漢方エキス製剤と煎じ薬では,処方の仕方に大きな違いがあるわけではないが,それぞれに長所,短所がある.1 エキス製剤a) 概要 エキス製剤は,処方ごとに調合された生薬を一定条件で煎じ,得られた抽出液を濃縮,乾燥し,乳糖などの賦形剤と混合して製造される.剤形としては,顆粒剤,散剤(細粒剤),錠剤,カプセル剤などがある.保険適用である医療用漢方エキス製剤と,薬局で販売され,保険適用でない一般用漢方エキス製剤がある.一般用エキス製剤には,医療用エキス製剤にはない処方もある.簡便に利用できるため,現