ブックタイトル本人の意思を尊重する意思決定支援
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本人の意思を尊重する意思決定支援
144概 要患者 S さん 95 歳 男性病名 心不全,脳梗塞,大腿骨骨折,前立腺がん,腹部大動脈瘤経過 心不全の治療と前立腺がんに対してホルモン療法を入院していた病院の外来に通院し治療していた.ある日,発熱し動けなくなったため,妻の友人が通っていた近所の診療所に往診を依頼し診察を受けたところ,肺炎と診断され腹部大動脈瘤も発見された. 診療所の医師(以下:在宅医)がS さんと妻に病状説明を行い,今後,腹部大動脈瘤が破裂する可能性があることや,肺炎だけでなく心不全など病状が悪くなった場合,病院に入院することを考えているかどうかを尋ねた.S さんは普段から物静かで口数が少なく,質問に対して妻が代弁することが多いが,入院するかどうかの話になると「入院したくない.(腹部大動脈瘤が突然破裂したとしても)最期までここで過ごしたい」と涙ぐんで話し,妻も「私も膝と腰が悪いですから,主人が入院すると通うのも大変です.主人のそばにずっと付き添えることを思ったら,主人が言うように家でみたいです.けれども私1 人で家でみれるかどうか…心配です」と話された.家族構成 妻との2 人暮らし.子どもなし.薬剤師で他市に在住している姪が1 回/週様子を見に訪問している.本人・家族の意思と医学的判断 在宅医は病院から紹介状をもらい,訪問診療を1 回/週で開始した.肺炎は改善したが,心不全が徐々に悪化し両下肢の浮腫が次第に増強し,左不全麻痺の痺れも強くなり,身体介護が必要となっていった.妻は変形性膝関節症と腰痛症があるため,身体介護が難しく,3~4 回/日の訪問介護サービスと2 回/週の訪問入浴の利用を開始した.本人の意思過去 公団住宅に40 年在住.S さんは大変子どもが好きで世話好きでもあったことから,地域住民から実の親のように慕われており,毎日,住民の誰かが顔を見に訪問している.また,S さんもその訪問をとても楽しみにしている.現在 腹部大動脈瘤が突然破裂する可能性があっても,最期まで家で過ごしたい.未来 入院した場合,既往疾患の病状管理がしやすい,腹部大動脈瘤が破裂した場合,緊急処置が行える,妻の介護負担が軽減することが考えられる.在宅の場合,S さんが最期の場所の選択において本人・家族の意見が一致しているが,将来の気持ちの変化を予測対応した末期心不全患者の支援年齢:95 場:在宅時間:月単位本人の現在意思:あり代理意思決定者:明確対立(人):なし対立(事項):なし倫理的課題:自律