ブックタイトル本人の意思を尊重する意思決定支援
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本人の意思を尊重する意思決定支援
A.アドバンス・ケア・プランニングの関連用語と概念定義理論編1.アドバンス・ケア・プランニングとは3としてACP は着目され,人生の最終段階の医療を中心にACP は展開されている. 2007 年,厚生労働省は「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」 5)を策定し,人生の最終段階において本人の意思を尊重した医療を提供することの重要性を医療者が認識し,患者本人による決定を基本とした上で患者の意思決定の能力や最善の利益に照らして医療とケアの方針を決定していくプロセスを示した.さらに,2014 年度から「人生の最終段階における医療体制整備事業」(厚生労働省)として,医療機関で患者家族の相談支援や関係者の調整を行う相談員の育成や,困難事例の相談などを行うための委員会の設置と活用を促進する事業を開始した.この相談員の教育プログラムにおいても患者の意思表明を支援するためにACP が提示されている 6). ACP の定義については,わが国では阿部ら 7)がACP の定義を概観し,その内容には①患者と医療者や家族などのケア提供者が共に行うこと,②意思決定能力の低下に先立って行われること(advance は「あらかじめ,前もって」を意味する),③プロセスを指していること,の3 点はほとんどの定義に共通していることを指摘した上で「将来の意思決定能力の低下に備えて,今後の治療・ケア,療養に関する意向,代理意思決定者などについて患者・家族,医療者があらかじめ話し合うプロセス」と定義している. 本書では,話し合う内容およびACP のアプローチは人生のさまざまな局面で継続的に行うことが必要であることを念頭に「将来の意思決定能力の低下に備えて,今後の治療・ケア,生活について,本人・家族など大切な人そして医療者が話し合うプロセスである.話し合う内容は,現在の病状と今後の見通しのみならず本人の価値観や希望,人生や生活の意向を含む.それらの内容は心身状態の悪化など病状が経過する中で変化することを前提として,さまざまな局面で繰り返し行われるものである」と定義する.c.ACP の定義に包含される内容 ACP の定義には,「話し合うプロセスである」という重要な概念と共にその内容,実施の時期や回数などが包含されている.①話し合うのは誰か? 本人と家族,そして医療者である.その内容によっては医療機関のソーシャルワーカーや地域の福祉職なども含まれる.また,健康な時から実施することを考えれば,患者という呼称ではなく,ACP の主体となるその人自身・本人と呼ぶ方が望ましいといえる.②話し合う内容は? 現在の病状(直面している,または推定される状態)と今後の見通しのもと治療・ケア,療養など医療に関すること,そして医療のことだけではなく,本人の気がかり,価値観や希望,どのように生きたいかという人生および生活の意向など,さらには本人の死後に家族に望むことなどである.③どの時期に,何回くらい行うのか? 意思決定能力の低下に先立って行う.医療等について選択をしなければならない事象が発生するより前に,あらかじめ,前もって行う.生死に関わる医療や人生,生活に関わる選択は誰にとっても難しく,健康な時や病状が安定して落ち着いて話し合うことが