ブックタイトル看護師国試対策STARTBOOK 解剖生理と疾病の特性 改訂2版

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概要

看護師国試対策STARTBOOK 解剖生理と疾病の特性 改訂2版

2グロビンとなり,体中の組織へ運搬される.組織では酸素分圧が低いために,ヘモグロビンと酸素の結合力が低下し,酸素が解離されて組織に供給される(図1-3).組織でのエネルギー代謝の結果に生じた二酸化炭素は,重炭酸イオン(HCO3-)となって血漿中に溶解して肺胞へ運搬される.この組織における細胞レベルのガス交換は内呼吸と呼ばれる. さらに,肺は生体の酸塩基平衡の調節にも重要な役割を担っている.全身の組織において,エネルギー代謝の結果生じた二酸化炭素や乳酸などは大量の水素イオンを産生する.水素イオンの蓄積はpH の低下をもたらすため,肺では水素イオンを二酸化炭素として体外に排泄することでpH の維持を図っている.肺機能の障害により水素イオンの排泄が抑制されてpH が低下することを呼吸性アシドーシス,過換気により水素イオンが過剰に排泄されてpH が上昇することを呼吸性アルカローシスと呼ぶ(p.119 を参照).3 呼吸運動 Q5 Q6 肺が存在する胸腔は常に陰圧である.肺は自身の弾力で縮もうとする力と,胸腔の陰圧によって外側に引っ張られる力が拮抗しているため形態をしなくなる.最終的には直径0.5mm 程度の終末細気管支となり,その先端にブドウの房状の肺胞が存在する.肺胞は直径0.1 ?0.2mm で袋状であり,すべての肺胞を広げると表面積は60 ?100m2 にもなる.この肺胞の表面を毛細血管が網の目のように走り,毛細血管内の血液と肺胞内の空気の間でガス交換を行っている. 全身で酸素が使われた(酸素飽和度の低い)静脈血を右心室から肺胞の毛細血管へ送っているのが肺動脈であり,ガス交換により酸素を多く含んだ(酸素飽和度が高い)動脈血を肺胞から左心房に戻しているのが肺静脈である.これらはガス交換を行うための機能血管であり,肺循環に属する.一方,肺や気管支が活動するための酸素や栄養を供給している栄養血管は気管支動脈であり,これは体循環に属する. 細菌などの感染により肺胞腔に炎症を起こした状態が肺炎であり,薬剤などで肺胞隔壁に炎症を起こした状態が間質性肺炎(肺線維症)である.また,喫煙の影響で末梢気道と肺胞に炎症を起こして不可逆的な気道狭窄をきたした状態が慢性閉塞性肺疾患(COPD)であり,アレルギーにより一過性の気道狭窄を起こす状態が気管支喘息である.肺動脈に血栓が詰まって,ガス交換が障害された状態が肺血栓塞栓症である.2 肺の機能 Q4 肺胞で行われるガス交換(血液中の二酸化炭素を空気へ排出し,空気中の酸素を血液へ取り込む)を外呼吸と呼ぶ.この外呼吸が効率よく行われるためには,呼吸運動によって外気と肺胞内に空気の出入り(換気)があること,肺胞の毛細血管に血液の流れ(血流)があること,毛細血管内の血液と肺胞内の空気との間で酸素と二酸化炭素のやり取り(拡散)ができることの3 条件が必要である(図1-2).この3 条件(換気,血流,拡散)のいずれかが障害されると呼吸不全となり,体内に二酸化炭素血症が蓄積し,酸素は不足する. 外呼吸により血液中に取り込まれた酸素は,赤血球中の還元型ヘモグロビンと結合して酸化ヘモ窒 素酸 素二酸化炭素吸気(外気) 約80% 約20% ─呼 気約80% 約15% 約5%酸素を含んだ赤血球酸素が除かれた赤血球肺 胞CO2 O2換 気拡 散血 流図1-2 外呼吸(市岡正彦:看護のための臨床病態学,南山堂より改変)肺胞でのガス交換には,換気,血流,拡散の3 条件が必要なのね!