ブックタイトル看護師国試対策STARTBOOK 解剖生理と疾病の特性 改訂2版
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看護師国試対策STARTBOOK 解剖生理と疾病の特性 改訂2版
13Chapter 1 呼吸器ズマやクラミジアによる肺炎は,乾性の咳嗽を主症状として白血球増加を認めないことが多いため非定型(異型)肺炎と呼ばれる. 感染様式や患者の状態からみた分類として,市中肺炎(病院の外で感染),院内肺炎(免疫力の低下した入院患者が毒性の弱い菌で発症する日和見感染が多い),医療・介護関連肺炎(前2 者の中間に位置し,高齢者に多く,誤嚥性肺炎が主である)がある.症 状 咳嗽,喀痰,発熱,脱水などの症状があり,聴診では病変部に粗い断続性ラ音(水泡音)を聴取する.検 査 胸部X 線やCT にて,肺の病変部に浸潤影を認める(図1-18).採血では炎症反応として白血球増加とC 反応性蛋白(CRP)上昇があり,動脈血ガス分析で低酸素血症を呈することもある.喀痰検査(塗抹,培養)で起炎菌の検索や抗菌薬の感受性検査を行うことも重要である.治 療 起炎菌に有効性がある抗菌薬を投与するとともに,低酸素血症に対しては酸素投与を行う.以前は抗菌薬の点滴投与前に皮内反応にてアレルギーの有無を検査していたが,現在では皮内反応を行わずに,点滴中の患者の状態を医療従事者が注意深く観察することが義務づけられている(異状があれば,点滴を中止してドクターコールする). 肺炎球菌による肺炎に対してはワクチンによる予防が可能である.ワクチンは数年で効果が薄れるため,接種を繰り返す必要がある.また,ほかの起炎菌による肺炎を予防するものではない.補 足 疾病の予防は3 段階に分類される.一次予防とは発症予防(病気にならないようにする)であり,二次予防とは早期発見(早期治療により治りやすくする)であり,三次予防とは機能障害防止(早期回復や再発防止を目指す)である.肺炎球菌ワクチンの接種や誤嚥の防止などは高齢者の肺炎に対する一次予防である.健康診断での胸部X線撮影や発熱・呼吸器症状の注意深い観察などは二次予防に相当する.肺炎患者に呼吸法や喀痰排出の指導などを行う呼吸リハビリテーションは三次予防である.2 肺結核 Q43 Q44どんな疾患? 結核菌の飛沫核感染(空気感染)により肺実質図1-18 肺炎の画像診断(市岡正彦:看護のための臨床病態学,南山堂より改変)同じ患者の胸部CT 像肺炎(右上葉)の胸部X 線像右上肺野に気管支透亮像を伴う均等な陰影(浸潤影)を認めます