ブックタイトルナースのための微生物学 改訂6版

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概要

ナースのための微生物学 改訂6版

看護における微生物学の重要性われわれを取り巻く環境中には多種多様の微生物が存在するが,看護学を含めた医学の中で取り扱われる微生物学(医学微生物学もしくは病原微生物学)は,このうちヒトに対し病原性を有する微生物の性状を明らかにすることにより,感染症とそれに対する対策を理解することを主な目的としている.感染症の克服のためには医師のみではなく,病理学者,臨床検査技師,公衆衛生学者,ナースなど多数の人々の協力が必要である.この中で看護にあたる人々は非常に重要な役割を担うことになる.すなわちナースは患者に接する時間が医師よりも長い.したがって診断の役に立つ各種の症状や治療の効果の有無,抗菌薬による副作用の出現などに最も気づきやすい位置にある.また手術や注射などの治療行為によって,院内感染が起こるのを避けねばならないことはいうまでもない.さらにはまた,各種のワクチンが感染症の予防にどのような役割を果たしているか,ワクチンの投与がなぜ感染予防に役立つのかといった免疫学的知識も必要とされている.このような看護上に必要な知識を与えるのが微生物学である.微生物学の知識に欠けるナースは看護の対象である患者に迷惑をかけるだけにとどまらず,多数の人々に病原体をばらまき,また自らも感染し,さらには子孫にも病害を及ぼしかねない.もちろん,危険だからといってかつて実際に起こったエイズ患者に対する診療拒否のような,患者の治療や看護を拒絶する微生物学への入門第1 章