ブックタイトル基礎栄養学 改訂9版

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概要

基礎栄養学 改訂9版

 a.消 化 digestion 消化とは摂取した食物(高分子化合物)を消化管管腔の吸収上皮細胞で吸収可能な低分子化合物にまでに分解することで,その過程には機械的消化(物理的消化),化学的消化,生物学的消化の 3 つの消化機序がある.機械的消化は固形状態の食物を咀嚼による噛み砕きと消化管内で消化液との混和をする混和作用,次の場所に送る移送作用が含まれる.化学的消化は食物成分の消化酵素による加水分解,生物学的消化は未消化物や難消化物の腸内細菌による発酵・腐敗をいう. b.吸 収 absorption 吸収とは低分子化された物質の吸収で,分解を必要としない水,塩類,ビタミン類も共に上皮細胞を通過することである.管腔と吸収上皮細胞の濃度勾配に従った受動輸送,濃度勾配に逆らった能動的輸送により行われる.膜消化においては消化と吸収が同時に進行し,両者を正確に区分できない.吸収された物質は血管あるいはリンパ管に入り血液循環により組織に運ばれる. 消化管 消化器官は口腔,咽頭,食道,胃,小腸,大腸の各器官からなる.消化管の構造は管腔内面から粘膜層,粘膜下層,筋層(内輪状筋と外縦走筋),外膜からなり,外膜が腹腔に露出しているところの膜を漿膜と呼ぶ.粘膜下層にはマイスナー神経叢,筋層の間にはアウエルバッハ神経叢があり内在神経系を形成する.それらの神経は外来神経の自律神経(交感神経と副交感神経)の支配も受けている. c.消化液 消化管には腺細胞があり消化液が分泌される.また,膵臓,肝臓からも消化液が分泌される. 消化液を大別すると唾液,胃液,膵液,腸液および胆汁がある.腸液,胆汁を除く消化液にA 消化・吸収の基本的な概念834 消化と吸収