ブックタイトル基礎栄養学 改訂9版

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概要

基礎栄養学 改訂9版

 d.消化管の運動 口腔では咀嚼,食道から大腸までは蠕動運動,加えて小腸では律動的運動の分節,振子運動が行われている.消化管にある輪状筋,縦走筋の 2 つの平滑筋は機械的消化を司り,口腔側から肛門側へ向かっての蠕動運動 peristalsis や小腸における分節運動と振子運動を行なっている. これらの消化管の運動によって内容物を消化液と混合,磨砕し,消化作用を促進し移送している.消化管の運動は内在神経と自律神経によって支配されている.消化液の分泌調節については最後に(H.消化液の分節調節)で述べる. a.口腔内における消化1)口腔の構造と機能 口腔 oral cavity は口唇,口峡,頬,口蓋,口腔底に囲まれ,上顎および下顎の歯槽骨に歯牙が並び,中には舌がある. 口腔機能は食物を咀嚼し嚥下する機械的消化と,食物中のでんぷんを低分子にする化学的消化がある. 咀嚼 mastication は食物を切歯により咬み切り,臼歯により臼磨する運動である.唾液腺より唾液の分泌促進をし,食物に湿り気を与え,食物を嚥下に適した大きさと硬さをもつ食塊とする.その過程で味覚,嗅覚を促進する. 食品を咬み切るのに必要な咬合力を咀嚼力という.咬合力が低下し,咀嚼機能が低下するとB 消化管における消化85B 消化管における消化口腔耳下腺唾液腺 舌下腺顎下腺食道胃膵臓肝臓胆嚢結腸S字結腸直腸肛門盲腸 大腸十二指腸小腸 空腸回腸図 4-1.ヒトの消化器系漿膜縦走筋輪状筋粘膜筋板(縦走筋)粘膜層粘膜下層腸上皮上皮下結合組織腸間膜 動脈,静脈 神経,リンパ管図 4-2.消化管(胃,小腸,大腸)の構造