ブックタイトル公衆栄養学実習 学内編 改訂2版

ページ
4/10

このページは 公衆栄養学実習 学内編 改訂2版 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

公衆栄養学実習 学内編 改訂2版

1 公衆栄養学実習の目的2養の指導」の一部として傷病者(患者)への栄養指導を明確化し,あわせて,他の医療関係職種と同様に,管理栄養士が傷病者(患者)に対して栄養指導する場合には,医師の指示を要することを法律に定める必要性が提言されました.この提言を踏まえて,「栄養士法の一部を改正する法律」が公布されました.その中で,管理栄養士の業務は以下のように明文化されています.現在,管理栄養士は,医療分野においてはNST(Nutritional Support Team)への参加,福祉・介護分野では栄養ケア・マネジメントの実施,さらに保健分野においては2008 年から特定健康診査・保健指導などに参画しています.このように,管理栄養士は,疾病の予防である「保健」,二次予防としての「医療」,三次予防としての「福祉」,「介護」において,対人業務中心の高度な知識や技術が必要とされるさまざまな栄養問題に取り組むようになっています.そのため,管理栄養士養成課程においては,保健,医療,福祉および介護のそれぞれの場における栄養マネジメント(栄養アセスメント,栄養サービスの計画,実施,モニタリング,評価,フィードバック)の概念,方法および技術を習得しなければなりません.公衆栄養学実習ではこの中の「保健」分野の栄養マネジメント(これを公衆栄養活動といいます)を遂行するためのスキルを習得することになります.具体的な目標は「地域社会の健康・栄養問題および関連要因の把握,課題分析を行い,地域社会の関係者・関係機関の横断的な連携・協働を促進し,健康・栄養計画立案,実践,モニタリング,評価,フィードバックを行う公衆栄養管理能力の基礎を習得する(管理栄養士養成課程におけるモデルコアカリキュラム2015 より)」ことです.本書では,図1-1 で示されている公衆栄養活動のプロセスを円滑に実行するための基礎的なスキルを学ぶことを主眼におき,特定健診・特定保健指導に関しては,具体的な指導の方法を学べる形で組み込んでいます.管理栄養士は,対人専門職業人です.栄養マネジメントは科学と技術を結合することです.マネジメントサイクルを循環させていくには,高度な科学的知識と最新の技能が,そしてリーダーシップが要求されます.技能は熟練していかなければなりません.しかし,優れた管理栄養士であるためには,これらに加えて人間理解が必要となります.その中でも,公衆栄養学領域においては,特に集団の人間に対するアプローチが必要です.学内および学外の実習において,これらのアプローチ手法を身に付けることは,これからの管理栄養士としてはきわめて重要なことです.C.管理栄養士に必要なスキルと公衆栄養学実習管理栄養士の持つ学問体系は非常に多様です.しかしながら,別の観点から見ると,このような多様な学問的背景は,管理栄養士という資格によって独占できる業務がないとも考えられ1.傷病者に対する療養のための必要な栄養の指導2. 個人の身体状況,栄養状態などに応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導3. 特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における利用者の身体の状況,栄養状態,利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導