ブックタイトル臨床現場で実践する薬学研究のススメ
- ページ
- 3/12
このページは 臨床現場で実践する薬学研究のススメ の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 臨床現場で実践する薬学研究のススメ の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
臨床現場で実践する薬学研究のススメ
39STEP1 情報を収集して研究計画を立てる方法 po群は277人のHSCT患者で,そのうち71人が1 mg/kgの固定量,残りが標的AUCを得るための補正量を投与されていた(AUC/投与量で標準化することで,固定量投与患者と同様に取り扱うことができる).iv群は120人の患者で,0.8 mg/kgの固定量を点滴静注で投与されていた.投与9回目に血中濃度を測定し,AUC0-6h を求めた.両剤形のAUCの同等性は90 %信頼区間の比較で評価した.CLは,po群,iv群ともに投与量/AUCから算出し,BuのBAをCLiv/CLpoで求めた.今回対象とした患者へのBu投与量は体重当たりで換算しているが,使用する体重は実体重(ABW),標準体重(IBW),調整済み標準体重(AIBW)とさまざまであり,特にiv群とpo群で設定に大きな違いが見られた.po群では主にABWが,iv群ではIBWが使用されており,用量設定の基準がばらばらであるため,単純にAUCを比較することが困難であった.この問題点の解決のため,投与量補正のアルゴリズムでpo群,iv群の投与量を換算し,AUCの標準化を行った.実際には,標準体重の患者(BMI<27 kg/m2)にはABW当たりの投与量を,肥満患者(BMI ≧ 27 kg/m2)にはAIBWを適応し,AUC の補正を行った.結果 使用する体重がばらばらであった生データを使用したAUC 比較では,経口1.0 mg/kgでやや高いAUCが得られていた.しかし,アルゴリズム補正後のAUCについて,po群(n=71で,1 mg/kg固定患者のみ)とiv群(0.8 mg/kg)の比較を行ったところ,得られたAUC には差が見られず,AUC 比は,0.988でほぼ一致した値であった(図1).さらに,BA を求めた結果,0.793と80%に近い値であった.体重換算後の比較iv群 0.8 mg/kg po群 1 mg/kgn 120 71AUC Mean±SD 1,257±242 1,296±362CV(%) 19 28Min 603 548Max 2,179 2,489t?Test P=0.72(NS)AUC比0.98890%信頼区間0.933-1.051,5005009002,0002,5003,000AUCSS (μMol 分)iv 群(n=120)CV=19%po 群(n=71)CV=28%肥満度を考慮したアルゴリズムで補正した投与量でAUCを標準化し,poとiv 投与によるAUCを比較した.その結果,両者には有意差は認められない.比較は,ivデータは0.8 mg/kg投与群とpoデータは1 mg/kg固定群間(n=71)で行った.CV : 変動係数 (文献1)より引用)図1 ivとpo投与下におけるブスルファンAUCssのボックスプロット比較