ブックタイトル臨床現場で実践する薬学研究のススメ

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概要

臨床現場で実践する薬学研究のススメ

43STEP1 情報を収集して研究計画を立てるの方が優れた治療効果が得られることが示された.また,細菌学的治療効果はLNZの方が優れること,薬剤関連性有害事象の発生頻度には両者に差がない結果が得られた.以上より,MRSA に対してはLNZ に優位性があることが示唆された.研究のポイント メタ・アナリシスとは,過去に独立して行われた研究を系統的に収集し,その中から質の良いものを選択し,それぞれの結果を抽出・整理・統合することによって,より客観的で正確な質の高いエビデンスを得る一連のプロセスを指す.多種多様な臨床試験のスタイルがあるが,ランダム化比較試験のメタ・アナリシスによって得られた結果が,最も重要視されるべきエビデンスであるといわれている.どちらの治療が有用性に優れているか,といった問題は,日常業務では常に戸惑う課題なので,こういった手法でエビデンスを蓄積することが重要であろう.論文検索による分析対象候補(n=72)選択基準を満たした分析対象候補(n=16)最終的に分析対象となった研究(n=9)タイトルおよびアブストラクトの内容から選択基準により除外(n=56)全文の内容から以下の理由で除外・費用対効果に関する研究であった(n=3)・治療期間に関する研究であった(n=2)・主に薬物動態/薬力学に注目した研究であった(n=1)・他の薬物を評価し,主な結果が本研究で対象とするものでなかった(n=1)図3 メタ分析の対象とした研究論文の選択フロー臨床的治療効果研 究リネゾリドバンコマイシン重 みオッズ比[95%信頼区間] オッズ比[95%信頼区間]イベントトータルイベントトータルStevens 41 56 38 52 11.7% 1.01[0.43 ?2.36]Weigelt( 1) 52 53 47 54 2.7% 7.74[0.92 ?65.31]Weigelt( 2) 436 462 394 436 19.5% 1.79[1.08 ?2.97]Sharpe 29 30 13 30 2.8% 37.92[4.55 ?316.02]Kohno 45 93 15 49 14.0% 2.13[1.02 ?4.41]Wilcox 39 45 31 39 7.7% 1.68[0.53 ?5.34]Itani 191 227 167 209 19.9% 1.33[0.82 ?2.18]Wunderink 95 165 81 174 21.7% 1.56[1.01 ?2.39]統 合928 1,131 786 1,043 100.0% 1.77[1.22 ?2.56]0.02  0.1   1    10   50バンコマイシンが望ましいリネゾリドが望ましい図4 MRSA治療に対するバンコマイシンとリネゾリドの臨床的治療効果のメタ分析結果 (文献3)より引用)