ブックタイトル医薬品のレギュラトリーサイエンス 改訂2版
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医薬品のレギュラトリーサイエンス 改訂2版
5 ◆ 臨床開発の展開と目的103overall survival)を主要評価項目とした第Ⅲ相試験,すなわち検証試験が必要となる. わが国で実施される抗がん薬の臨床試験の多くは,海外ですでに行われた試験をもとに第Ⅱ相試験や第Ⅲ相試験が構成されているため,かなりの情報を試験開始前から得ることが可能である.しかし,近年の臨床試験は国際共同試験として実施されることが増えたため,情報の乏しい試験が時として実施され,予期せぬ有害事象に見舞われることもある.さらに,未知の重篤な有害事象のために試験自体が中止されることもある.このため,抗がん薬の第Ⅱ・Ⅲ相試験を行う場合は,被験者の安全性を確保するための細心の注意が必要である.Ⅳ 国際共同治験1 国際共同治験とその背景A 国際共同治験とは 「国際共同治験」と聞いて,どのようなイメージをもつだろうか.“いろんな国が参加する治験”ということであるが,2007 年9 月に厚生労働省から発出された通知(「国際共同治験に関する基本的考え方について」薬食審査発第0928010 号,厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)には,「新規の医薬品の世界的規模での開発および承認を目指して企画される治験であって,1つの治験に複数の国や地域の医療機関が参加し,共通の治験実施計画書に基づき,同時並行的に進行するものを言う」と記載されている.ここでのポイントとして以下の点がある.・1つの治験に複数の国や地域の医療機関が参加する.・共通の治験実施計画書に基づき実施される.・同時並行的に進行する. 最近は,この国際共同治験の実施が日本で増加している. 図5-4は日本で実施されている治験届出数を年度ごとに表したものである.日本で治験を実施する場合には,厚生労働省に治験届を提出することとなっている.近年の特表5-2 RECIST 基準完全奏効CR:complete response部分奏効PR:partial response安 定SD:stable disease進 行PD:progressive disease