ブックタイトル薬剤過敏症
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薬剤過敏症
薬物の副作用,有害反応および有害事象薬物の作用には,主作用(main effects)と副作用(side effects)がある.薬物の主作用は薬物本来の目的に有益な作用を指し,副作用は本来の目的から逸脱した副次的な作用を意味する.そのため,薬物の副作用は人体にとって善し悪しの概念はなく,有害反応(adverse reaction)と副現象(epiphenomenon)を含有する.しかし,臨床現場での医薬品の副作用は,薬物有害反応(adverse drug reaction)と同義語として用いられる.また,有害事象(adverse event)は,薬物を投与された被験者に生じたすべての好ましくない事象を指し,薬物と無関係な事象も含有する(図 序-1).医薬品の副作用は,薬物治療の安全性が叫ばれる今日では医療従事者にとって避けては通れない深刻な問題となっている.医薬品の副作用は多種多様であり,重篤度(程度),発現型,発症原因および発症機序などに分類される(表 序-1).副作用の程度では,頭痛,めまい,食欲不振などの「軽度な副作用」とショック,けいれん,不整脈などの「重大な副作用」に分けられるが,皮疹,肝障害,血液障害などのように重症度により両者に変化する症状も少なくない.副作用の発現型でⅠ図 序ー1 薬物の副作用,有害反応と有害事象の関係薬物の副作用薬物の有害反応有害事象序 薬剤過敏症に迫る章1