ブックタイトル薬剤過敏症

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概要

薬剤過敏症

1章薬剤過敏症の起因薬検出の視点現在の医薬品の副作用報告は,有害事象と薬物の因果関係が否定できない事例を示している.そのため,有害事象と原因薬の因果関係が高くない側面を持っており,被疑薬が複数の場合は特に両者の因果関係が曖昧になっている.薬剤有害反応の原因薬の検索は,臨床経過の解析により被疑薬物を推定し,被疑薬物の再投与(チャレンジテスト)により原因薬物を確定するのが最も確実な方法である.しかし,チャレンジテストは患者のリスクが大き過ぎるため,中毒性副作用では被疑薬物の薬力学・薬物動態(薬物間相互作用も含む)の検討,アレルギー性副作用(薬剤アレルギー)ではアレルギー起因薬同定試験により原因薬物を検出するのが一般的である.本章では,薬剤有害反応の臨床解析法とその意義と問題点について解説し,アレルギー起因薬同定試験とその有用性と問題点について言及する.薬剤有害反応の臨床解析医療現場では被疑薬剤すべてを副作用原因薬と見なしているケースが多く,薬剤有害反応発現以降の薬物治療に大きな弊害となっている.その原因は,有害事象と薬物の関連性を示す指針あるいはガイドラインが整っていないからである.そのため,薬剤有害反応疑診事例に対して客観的かつ科学的に分析し,有害事象と薬物の関連性に従って『差別化』することは,信頼できるデータとしてその後の薬物治療および副作用情報にとって重要なことである.1. 薬剤有害反応の解析法(FDA方式)臨床経過を解析する場合,薬剤有害反応は薬剤服用期間(あるいは薬物Ⅰ9