ブックタイトル精神科医×薬剤師クロストークから読み解く精神科薬物療法
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精神科医×薬剤師クロストークから読み解く精神科薬物療法
66さてここから私たちがこの患者さんを担当しますが,この患者さんのこれまでの経過をまとめて問題点を挙げてみましょう.第一に,怠薬が目立ち服薬アドヒアランスが不良となり入退院を短期間に繰り返していること,第二にご家族の病気への理解や薬物治療の大切さに関する知識が不足していること,第三にたびたびの入院により家族も疲弊している可能性があること,第四にデイケアや外来作業療法,訪問看護などの社会的サポートの導入が良好でないことなどが挙げられます.服薬アドヒアランスの不良の問題ですが,その背景に先ほどの病識欠如の問題以外にもいくつかの問題が考えられます.この患者さんは3回の入院歴がありますが,初回入院前と退院後3回とも服薬を中断しています.まずこの拒薬理由を確かめる必要があると思います.病識以外にも副作用はアドヒアランスに大きな影響を及ぼします.今回の入院処方では多剤大量療法となっており,錐体外路症状や過鎮静,体重増加,性機能不全,認知機能障害などがあったことも考えられます.錐体外路症状については今後DIEPSS( 参照p.40)で評価していきます.確かに内服量は多いですね.Rp.3ではCP換算量( 参照p.99)にして2,079mgと2,000mg/日を超えています.外来患者で具合が悪くなった際,投与量を増やすことがありますがコンプライアンスが不良な患者に服用量を増しても効果は乏しく,むしろコンプライアンスを高める工夫が重要です.大量の抗精神病薬の服用の結果,脳内のドパミン受容体量の増加が指摘されています( 参照エビデンス2).このようなドパミン受容体過感受性状態では軽度のストレスにより精神症状が悪化しやすいという指摘もあります.一方で,大量の薬を処方されているにもかかわらず,実際には患者さんのコンプライアンスは不良で実はそれほどの大量の薬を服用していない可能性もあります.慢性患者さんに対して,まずは両者の見極めを行う必要がありますね.それともう一つ自覚的薬物体験をDAI-10で評価しましょう.これは,「治療継続性」「服薬コンプライアンス」を決定する重要な因子であると考えられます.DrPhDrPh?ジプレキサ錠(10mg) 1回2錠 1日1回 夕食後?インヴェガ錠(6mg) 1回2錠 1日1回 朝食後 デパケン錠(200mg) 1回1錠 1日3回 毎食後?ロドピン(ゾテピン)錠(50mg) 1回1錠 1日3回 毎食後?アキネトン(ビペリデン)錠(1mg) 1回1錠 1日3回 毎食後?ヒルナミン錠(25mg) 1回1錠 1日1回 就寝前?レンドルミン錠(0.25mg) 1回1錠 1日1回 就寝前Rp. 3変更