ブックタイトル医薬品副作用アセスメント
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医薬品副作用アセスメント
医薬品による全身障害は一般的に発熱,疲労,倦怠感,不快感などである.ショックは本来「循環障害」の範疇に属するものであるが,症状が最終的に全身組織に及ぶので,ここでは全身障害にショックを加えて,臨床上特に重要なショックと発熱に限定して解説する.ショックショック(shock)は何らかの原因で血流が低下して,酸素や栄養素が全身組織へ輸送されるのが妨げられ,全身組織が機能不全を起こした病態のことである.ショックは,血液量の減少に起因する循環血液量減少性ショック(出血,脱水,熱中症,熱傷など),血液の分布異常に起因する血液分布異常性ショック(アナフィラキシー,敗血症,神経原性ショックなど),心機能低下に伴う血流低下に起因する心原性ショック(心筋梗塞,弁膜症,不整脈など)および血液が心臓に帰ってこないことに起因する閉塞性ショック(肺塞栓症や緊張性気胸など)に分類される.ショックのクリニカルアプローチは,意識,呼吸,脈拍,血圧,体温,尿量の順で調べていき,皮膚の温かさでウォームショックとコールドショックに分ける.ウォームショックはアナフィラキシーショック,神経原性ショック,敗血症性ショックなどであり,コールドショックは出血性ショック,熱傷性ショック,心原性ショックなどである.薬剤性ショックには,アナフィラキシーショック,神経原性ショック,心原性ショックなどがあるが,心原性ショックは循環器障害,神経原性ショックは神経障害の項に譲る(表Ⅱ-1).また,近年問題となっている抗体医薬によるインフュージョンリアクション(後述)もショック症状を呈するので,アナフィラキシーショックに加えて解説する.表Ⅱ-1 薬剤性ショックの分類・機序・主な起因薬分 類機 序主な起因薬アナフィラキシーショックアレルギー性Ⅰ型アレルギー反応β - ラクタム系抗菌薬,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs),酵素製剤などⅢ型アレルギー反応ウマ血清,キメラ型抗体医薬など非アレルギー性アスピリン過敏症NSAIDsヒスタミン遊離作用ヨード造影剤,モルヒネ,グリコペプチド系抗菌薬,タキサン系抗がん薬,マンニトールなど補体活性作用フルオレセイン,インドシアニングリーンなど神経原性ショック大脳皮質抑制アミド型局所麻酔薬(リドカイン,ブピバカインなど)心原性ショック心室細動・心室頻拍ジソピラミド,ランジオロール,アミオダロンなどインフュージョンリアクション炎症性サイトカインの大量放出抗がん薬の抗体医薬1 全身障害アセスメント第Ⅱ章 副作用アセスメントの実践76