ブックタイトル医薬品副作用アセスメント
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医薬品副作用アセスメント
型反応と言われる.また,数時間経つとマスト細胞や好塩基球の細胞膜のリン脂質のアラキドン酸が遊離し,アラキドン酸のカスケードが進行してプロスタグランジン(prostaglandin,PG)類とロイコトリエン(leukotriene,LT)類が産生されて炎症反応が亢進する.さらに,IgE 産生促進のサイトカインや炎症性サイトカインが産生されて炎症反応が進展する.この反応は数時間後に起こるのでアナフィラキシーショックの遅発型反応と言われ,アナフィラキシーショックの二峰性(二相性アナフィラキシー)を示す原因となる.症状の大部分は軽症(蕁麻疹)で終息するが,約1 割程度は重症化する(アナフィラキシーショックを誘発する).注射剤では約5 分,経口剤は約30 分で発症し,遅くとも1 時間以内で発症する.したがって,注射剤の場合は口内異常感,?痒感および痺れなどの初期症状が現れたら,直ちに中止することが重症化の防止につながる.また,アナフィラキシーショックはしばしば二峰性の経過を辿ることがあるので,中等症では8 時間,重症では24 時間経過観察が必要である4).■ Ⅲ型アレルギー反応によるアナフィラキシーショックⅢ型アレルギー反応の発症機序は,抗原(薬物)特異的1 型ヘルパーT(Th1)細胞により薬物特異的B 細胞が活性化されて形質細胞となり,薬物特異的補体結合型IgG(IgG1 またはIgG3)抗体(またはIgM)を産生する.この補体結合型IgG 抗体2 分子(またはIgM 抗体1 分子)が血液中に存在している状態が薬物によるⅢ型アレルギー反応の感作状態である.再度薬物抗原がIgG と結合すると免疫複合体を形成して補体が活性化し,C3a やC5a のようなアナフィラトキシンとなり,マスト細胞や好塩基球のC5a レセプターに結合して,アナフィラキシーを誘発する(図Ⅱ-1).抗原感作の成立には約1 週間の潜伏期間が必要であり,ウマ血清や抗体医薬は2 回目以降の投与で発症する.症状はⅠ型アレルギー反応と異なり数時間後に発症する.図Ⅱ-1 アレルギー性アナフィラキシーの発症機序(文献3 から引用,一部改変)ヒスタミン,セロトニン,トリプターゼIgGIgEFcεRC3aorC5aC5aR抗原(薬物)マスト細胞 or 好塩基球即発型反応脱顆粒PGE2/D2,PAF,LTB4/C4/D4/E4ケミカルメディエーター産生TNF‐α,IL‐3,IL‐4,IL‐5,IL‐13サイトカイン産生遅発型反応第Ⅱ章 副作用アセスメントの実践78