ブックタイトル薬剤師のための地域連携スタートBOOK 絶対つかえる!臨床検査値

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概要

薬剤師のための地域連携スタートBOOK 絶対つかえる!臨床検査値

iii 京都にいる.八朔を見に来た.芸妓さんの黒地の着物が粋で優雅である.思えば私の講演行脚は京都から始まった.今から30 年近くも前のこと! 京都にIDI 研究会という集まりを仲間と一緒につくったのである.IDI とはIndependent DrugInformation の略である.バイアスを避け客観的な医薬品情報を提供しようという意欲に溢れていた.私は京都に通い,仲間も増えていった. 当時は「製薬会社がつくる医薬品情報にはバイアスがある」ということが前提にあった.しかし,「“ 客観的な情報を創ろうという思い” もまたバイアスを生む」ということには気がついていない.若いだけに思い上がっていたところもあったのだろう.しかし,皆様からは歓迎を受けた.今でもIDI 研究会を続けている.今年のIDI 研究会はこの本の出版記念会になるはずである. 医薬品情報を巡る環境は当時と大きく変わった.一番大きな違いはインターネットの隆盛である.当時,必死に作っていた医薬品副作用情報データベースARIS,医薬品情報データベースBeluga はすでに社会的な役割を終えている.医薬分業は新しい保険薬局という業態を生み出した.保険薬局は処方箋を受け取り,問題があれば処方箋発行医に疑義照会をして,適切な調剤を行い,患者さんの服薬指導をする. 保険薬局で最も問題なのは,患者さんの検査値がわからないので,手探りで服薬指導をせざるを得ないことである.しかし,なんとか保険薬局は社会的な役割を果たしてきた.そうこうしているうちにクリニックは患者さんの血液,尿,生化学の検査値を記載した表を患者さんに渡すことになった.これは大いなる進歩である.最近では大学病院でも患者さんの検査値を処方箋に記載して保険薬局に伝えるようになった.これもまた大変助かる. ただ,その情報をどう保険薬局が使うのか? ということに関して明確な定義はなく技術の蓄積も少ない.これは大きな問題である.患者さんの臨床検査値に対する捉え方が個々の薬剤師によっても違うし,個々の保険薬局によっても違うのである.そんな状況から『薬剤師のための「臨床検査値の読み方」ABC』という入門書を書いた.2002 年1 月1 日のことである.やがて,保険薬局の臨床検査値の見かたに対する意識は変わり,副作用チェックや処方薬変更の提案に応用されるようになった.はじめにPREFACE