ブックタイトル患者指導のための剤形別外用剤Q&A

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概要

患者指導のための剤形別外用剤Q&A

104なぜ点鼻剤が使用されるの? このように点鼻剤は主に鼻腔内で効果を発揮していますが,日々の診療において「なぜ点鼻剤が処方されているのか?」「冷所保存など管理が困難なものもあるため,経口剤でもよいのでは?」と思うこともあるかもしれません.そこで点鼻剤の特徴から選択される理由を考えてみましょう. 中枢性尿崩症治療薬であるデスモプレシン点鼻液・スプレー(デスモプレシン酢酸塩)は,鼻粘膜からの吸収を目的に開発された剤形でしたが,近年口腔粘膜と消化器からの吸収を目的とした経口剤であるミニリンメルトR OD 錠(デスモプレシン酢酸塩)も発売されました.経口剤は手技や管理の観点から有用と考えられますが,吸収の際に食事の影響を受けるため,点鼻剤が選択されるケースも少なくありません.点鼻剤は小児への使用などの際に希釈による低用量の設定が可能であることなど,剤形によってもメリット,デメリットがあるため,患者に合わせて選択することが重要となってきます.スプレキュアR点鼻液(ブセレリン酢酸塩)などのGnRH 誘導体製剤は経口投与された場合には,消化器官などでの代謝が予想されるため,安定した吸収を得る目的で点鼻による投与が選択されています.しかし,ターゲットとなる部位は細かく設定されておらず,他薬剤同様,鼻腔内の血管から吸収すると考えられています.イミグランR 点鼻液(スマトリプタン)も同様に鼻腔内の血管から吸収されると考えられていますが,こちらは経口剤より点鼻剤のほうが速やかな血中濃度の上昇が期待できるため,点鼻液が汎用されています1 ,2 ). このように点鼻剤の特徴はそれぞれ薬剤によって異なりますが,それを明確に知ることにより,なぜ点鼻剤が処方されているのかが明確になってきます.蝶形骨洞嗅粘膜後鼻孔耳管咽頭口咽 頭鼻 骨鼻 腔外側鼻軟骨大鼻翼軟骨鼻前庭下鼻道下鼻甲介中鼻道上鼻甲介上鼻道中鼻甲介鼻 限図1 鼻の構造図2 ナゾネックスR 投与後鼻腔内分布ナゾネックスR 1 回噴霧量を100% としたときの噴霧0 分後の分布率(ナゾネックスR 製品資料より引用)上咽頭1.5%鼻腔後方(中鼻道,鼻甲介)60.1%鼻腔外3.1%肺1.6%嚥下7.4%鼻腔前方26.0%