ブックタイトル患者指導のための剤形別外用剤Q&A

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概要

患者指導のための剤形別外用剤Q&A

139第6 章点眼剤眼の構造と薬の吸収は?眼疾患治療薬のほとんどが,点眼液です.眼の構造と点眼液の眼内への移行について解説します.点眼液の特徴は? 眼疾患治療薬は,通常,眼表面に点眼投与される点眼液として製剤化されます.点眼液は,眼表面に直接滴下されるため,外用剤の一種です.しかし,経口剤などと同じく,「有効であり」「安全であり」「安定である」ことが必須です.さらに点眼剤は,鋭敏な感覚器である眼球表面に直接投与される製剤ですので,「快適である」ことも重要であると考えられています.ヒトの眼球は,直径わずか25 mm 程度の小さな器官1)ですが,ヒトの生命維持に必要な情報の80 % を収集しているといわれています.眼球は,この重要な機能を護るため,① 涙液による希釈と排泄,② 角膜の薬物拡散抵抗と角膜内酵素による代謝,および③ 房水の流れによる排泄,などの防御機能を備えています.これらの防御機能のため,点眼液の眼内バイオアベイラビリティは,低いことが知られています2).眼の構造はどうなっている? ヒトの眼球はほぼ球形で,重さ6.7 ?7.5 g,約6.9 mL の容積をもっています.外界の光は,角膜(cornea),房水(aqueous chamber),水晶体(lens),硝子体(vitreousbody)の順に透過し,最後に網膜に到達します.この他に網膜に到達する光の量を調節する虹彩,水晶体の屈折率を変化させる毛様体などの組織が存在します.以下に主要な眼組織を簡単に紹介します(図1).