ブックタイトル治療100巻1月号

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概要

治療100巻1月号

Vol.100,No.1〈2018.1〉 55患者と地域を救う 新時代の処方箋実際の地域資源処方・詳細1 患者(事例)に対する地域資源処方A . 地域資源処方① 管理栄養士による栄養指導の紹介 診療所の外来で,医師や看護師がきめ細かい栄養指導を行うことは難しい.管理栄養士によりこれまでの食事習慣をチェックしてもらい,適切な食事を行うための栄養指導をしてもらうのが望ましい.しかしながら,診療所で管理栄養士を雇用し栄養指導を行うのは難しい場合がある.当地域で利用できる栄養指導としては,滋賀県内の在宅の管理栄養士の集まりである「ぴーまん食楽部」の栄養士派遣と町の保健センターで年間計画されている栄養指導がある.このような窓口を紹介することで診療所に通院している患者でも管理栄養士による栄養指導を受けることができる.当院では「ぴーまん食楽部」からの管理栄養士の派遣を利用し,月3日当院で栄養指導を行っている.B . 地域資源処方② 男の料理グループ/運動活動グループの紹介 働き盛りの頃は地域での活動に参加することが少なく,地域内でのつながりも希薄になりがちになる.そのため退職後に地域でのいろいろな活動に入っていきにくい方がときどき見受けられ,とくに男性のほうが多い傾向にあるように思われる.竜王町では公民館で行われる文化活動のグループについて毎年町民に案内をしている(図1).そのなかには,食事や料理にそれまで関心がなかったが,食事や料理にも興味をもった中高年男性向けに「男の料理グループ」があり,25人以上の同好者を集めている.そのようなパンフレットを用意しておいて必要なときに情報提供できるようにしている.  またそれらの文化活動以外に当院に受診している患者のなかには「テニス」,「水泳」,「歩こう会」,「グランドゴルフ」などの運動活動をグループで行っている方がいる.そのような情報を自分の引き出しとしてもっておき,適切な情報を提供できるようにしておくことも大切ではないかと考える.2 地域全体に対する地域資源処方A . 地域資源処方③「 やさい食べ隊」など 竜王町では地域の健康づくりの担い手として各地区の健康推進員を養成している.健康推進員で構成された健康推進協議会では,① やさい食べ隊,② 朝食食べ隊,③ 運動・禁煙・心の健康すすめ隊という3つの隊に分かれて活動している.たとえば,やさい食べ隊では,親子,高齢者,地域住民などの対象に各地区で参加者とともに野菜を使った料理を提供したり,野菜ジュースの学習と提供を行うことで楽しく学べるような活動を行っている(図2).妊産婦,幼児,学童などへのアプローチが行政主導で行われているが,退職後に家庭にいることが多くなった方向けに地域ごとに食事指導による生活習慣病予防を行うことも大切と思われる.Ⅱ