ブックタイトル治療100巻1月号

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概要

治療100巻1月号

110 Vol.100,No.1〈2018.1〉実際の地域資源処方・詳細1 患者(事例)に対する地域資源処方A . 地域資源処方① 水中歩行サークルの紹介 膝OA患者は定期的な有酸素運動,筋力強化訓練および関節可動域訓練を実施し,かつこれらを継続することが勧められている2).地域包括ケアシステムでは自助,互助の役割が大きく求められている3).膝OA患者にとって水中での運動は忍容性が高く4),中等度以上の痛みがある場合はよい適応となる.しかし1人ではなかなか始められないことも多く,このような場合に互助の力を利用することが重要である. 互助力の向上のためにリハビリが担う役割としては,ボランティア活動の啓発・受け入れ,住民による支え合いが可能となる活動の育成,高齢者・障害者が交流できる場の提供,自助グループの育成と支援などがあげられる(図1)5). 本事例では無理なく運動を続けられ,また同じような悩みを抱える仲間とも交流できる場の提供として水中歩行サークルへの参加を勧めた.水中歩行サークルへの参加を通して同じように膝痛を抱える仲間ができ,無理なく運動を継続できることに加えて外出する楽しみも得られるようになったとのことであった.B . 地域資源処方② 介護保険の利用:自宅内の改修,デイサービスの利用 退院後のリハビリを進めていくうえで,自助・互助でまかなえない部分については共助の力を利用する.リハビリは急性期(廃用症候群の予防),回復期(自宅に帰り生活する能力を取得),生活期(その人らしい生活を実現・維持)の流れで進むが,退院後に地域で行うリハビリは生活期にあたる.生活期のリハビリで使用できる共助の力には,介護保険Ⅱ?地域支援事業へのかかわり(受託,推進)?地域リハビリ*1事業の推進?地域包括支援センターとの連携?保健所・保健師との連携?ネットワークづくりへの参画公の機関と積極的に協働公 助?早期にADLが自立のためのリハビリ*(1 急性期)?早期に自宅復帰できるためのリハビリ*(1 回復期)?生活機能維持・向上のためのリハビリ*(1 生活期) →通所・訪問リハビリ,福祉用具の選定,  住宅改修など地域包括ケアを支えるリハビリ*1提供共 助?ボランティア活動の啓発,受け入れ?住民による支えあいが可能となる活動の育成?高齢者・障害者が交流できる場の提供?自助(セルフヘルプ)グループの育成と支援インターフォーマルサービスの育成とサポート互 助?疾病や暮らし方などの理解を深める支援 →情報提供,研修(教育)など?運動や生活が自己管理できるための支援?自立のための生活環境の工夫などにかかわる 支援自助力の向上・維持自 助図1 リハビリテーションが担える役割 (文献5)より改変)* 1:リハビリテーションの略.