ブックタイトル治療100巻1月号

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概要

治療100巻1月号

44 Vol.100,No.1〈2018.1〉08わからなければ本文を読んでみたほうがいいカモ社会的処方の利点といわれているのは,次のうちどれか(複数選択可)?①社会的孤立の改善②セルフケアの推進③ボランティア活動の促進④プライマリ・ケアの頻回受診の減少⑤救急の利用の減少気になる答えは論文の最後で!総 論診察室にもち込まれる社会・経済的課題 高齢化の進展や疾患構造の変化につれ,虚弱な高齢者,複数の疾患や障害とつきあいながら暮らす人々が増加している.個人や世帯単位で複数の課題を抱え,地域生活を送るうえで複合的な支援を必要とする場合も少なくない. 他方,わが国で「友人,同僚,その他社会的グループの人」と「めったにつきあわない」と答えた者の割合は,OECD21 ヵ国で最も多くなっており1),人口の数や年齢構成,世帯構造,経済情勢や働き方などの変容を背景に,家族や職場による支え,地域でのつながりが弱まり,「社会的孤立」による課題が表面化しつつある. 社会・経済的因子や環境が,健康状態に大きな影響を及ぼすことが明らかにされており(p.19 参照),その場しのぎの医療ではなく,健康によくない社会・経済的状況への介入の必要性が高まっている.実際,イギリスの家庭医診療所では,患者の約20%が社会的状況を主因に受診し,15%は福祉的助言を求めており,このような患者には従来型の医療的アプローチがふさわしくないだけでなく,患者・医師双方のフラストレーションにもつながっているといわれる2). こうしたなか,健康の社会的決定要因への対応に目を向け,患者の非医療的ニーズについては地域における多様な活動やボランティア・グループなどの地域資源に橋渡しし,より患者が主体的に自立して生きていけるよう支援するとともに,ケアの持続可能性を高めⅠ知っ得! 手段⑤社会的処方堀田聰子慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科